1995年、スタンフォード大学博士課程に在籍していた2人は運命的な出会いをする。その2人とは、サーゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏。Googleの共同設立者である。同年に2人は、Google検索エンジンの基礎となる技術を開発した。1998年9月に100万ドルの資金を調達してGoogleを設立した際の本拠地は、友人宅のガレージ。シリコンバレーの起業家らしいスタートだ。
そんな2人が始めた事業も、いまでは従業員数約1900名という巨大企業に成長した。サービス内容も、イメージ検索やツールバーの提供にはじまり、先日はニュース検索ベータ版を国内で開始、さらに、日本語対応は未定だがデスクトップ検索も始めている。東京での研究開発センター設立も発表し、国内市場への同社の取り組みも強化されつつあるようだ。そんななか、ブリン氏とペイジ氏がそろって来日し、18日都内にて記者会見を開催した。
Google共同設立者のサーゲイ・ブリン氏(左)とラリー・ペイジ氏 |
現在、Googleの対応言語数は104言語で、50%以上のトラフィックは米国外からのものとなっている。ここまで国際化が進んだことについてペイジ氏は、「はじめはボランティアベースでローカライゼーションを進めていたが、ニーズは想像以上に大きなものだった。そこで本格的に力を入れた結果、現在に至る」という。ブリン氏は、そのなかでも日本は重要な市場だと述べる。日本におけるブロードバンド環境やモバイル化は他国と比べものにならないほど進んでおり、さまざまな商品やサービスを提供することが可能だからだ。
ただ、日本では老舗ヤフーが検索市場において高いシェアを握っているのも事実だ。ヤフーはもちろん、マイクロソフトのMSNも独自の検索技術の提供開始を発表するなか、Googleに勝算はあるのだろうか。この問いにブリン氏は「われわれが日本に参入した当時、ヤフーが独占状態にあったことを思えば、Googleはそこからうまくシェアを奪えたといえる。今後も品質の高い検索結果を提供することで、シェアを伸ばすことは可能だ」と強気な答え。ペイジ氏も、「今後東京開発センターでは、モバイル系の事業にも注力する予定。携帯電話での情報検索もより便利になり、小さなコンピュータでいろんなことができるようになる」と述べ、東京研究開発センターに対する期待の大きさものぞかせた。
Googleに戦いを挑むのは、ヤフーやマイクロソフトなどの巨大企業だけではない。新たな検索サービス企業も第2のGoogleをめざしてさまざまな検索技術を生み出しているのだ。特に、カテゴリー分けされた検索結果を提供し、そこからより絞り込んだ検索ができるというタイプが多く登場しているが、この点についてブリン氏は「カテゴリー別に検索結果を分けたとしても、もともとの結果が良くなければ意味がない」として、品質勝負で勝てるとの考えを示している。ただ、同氏もカテゴリー分けされた検索結果を否定しているわけではなく、「(Google社内でも同様の機能は)検討している」と述べた。
現在Googleの主な収入源はアドワーズなどの広告となっているが、ニュース検索やデスクトップ検索など次々と登場する新サービスが新たな収入源と結びつくことはあるのだろうか。ブリン氏は「Googleは、まずユーザーのことを考え、ユーザーが望むサービスを提供することに注力する。新しいサービスが次々に登場しているが、これらも例外ではない。ビジネスについては、サービスが軌道に乗った上で考えることが多いのが現状」と、正直に話している。ただ、ペイジ氏は「広告は大きなビジネスで、改善の余地もある。他の収入源を考える予定はあるが、広告はまだこれからも伸びる」と述べる。
最後にブリン氏は、ユーザー第1主義のGoogle創業者からの日本のユーザーへのメッセージとして、「これからもGoogleをどんどん使ってほしい。そして不足している点などあればフィードバックを送ってほしい。そうすることによって、われわれはよりよいサービスを提供していく」と述べた。
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