その昔、ありきたりのステーションワゴンをウッドパネルとクロームメッキで飾り立てて高級車に見せる、という手法があった。いま、Media Center PCを全家庭のリビングルームに浸透させようとするMicrosoftの取り組みも、このやり方で成功を収めるかもしれない。
MicrosoftのeHome事業部がエンジニアリング/デザイン会社のOne & Co.(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)に依頼して作らせた、Media Center PCの新しいスタイルを提案する試作品のうち、1つにはこれらの素材がふんだんに使われている。
One & Co.のパートナー、Jonah Beckerの説明によると、Microsoftは新しいものを次々に採り入れるユーザーが、オーディオラックの片隅ではなく、リビングの中央に置きたいと思えるようなPCのデザインを希望したという。このことは、消費者が「60センチ離れたところからの操作」と「3メートル離れての操作」との両方を快適に行えるようにする上で重要だ。前者はPCを使って写真を整理したり、音楽をダウンロードすることで、また後者のほうはテレビやスライドを観ることを指す。
Beckerによると、現行のMedia Center PCのデザインは、ソファーの隣に置くにはあか抜けないデザインであるため、60センチの操作にはあまり向いていないという。
「既存のMedia Center PCは、既存の製品のデザインを元に考えられたものだ。(メーカー各社は)PCをリビングに置くということの意味を、操作性の観点からも、美的観点からも考えてはいない」(Becker)
Microsoftは先週、インタラクティブテレビなどの機能を強化したエンターテイメント指向のOS、「Windows XP Media Center Edition 2005」を発売した。Media Centerのオリジナルバージョンは、現在までに100万本程度しか売れていない。だが、Microsoftではデジタルホームの覇権を目指す競争のなかで生き残るために、同OSに大きな力を注いでいる。
Dell、Gateway、Hewlett-Packard(HP)、ソニー、東芝を含むPCメーカー各社からは、この新OSに対応するPCが多数出されたが、これらのマシンのデザインは従来のものからほとんど変化していない。MicrosoftはOne & Co.にデザインを依頼したものの、できあがったデザインを採用するかどうかはコンピュータメーカー次第だ。
Beckerの会社が提案したデザインの1つは、卵形でクロームメッキが施され、リモコン入れにもなるカップホルダが付くなど、PCというよりも60年代の酒棚のイメージがある。Beckerによると、このデザインは、PCメーカーが家具でもありハイテク機器でもあるようなMedia Center製品を考えるための、きっかけ作りを意図したものだという。
「リビングルームの素材やデザインにマッチし、空間の一部になるような製品を作るのが狙いだった。クローゼットの中に隠す必要のないものが欲しかった」(Becker)
実際には機能しないこのプロトタイプは、画面表示にテレビを利用するようになっている。
同社のデザインしたもう1つのプロトタイプは、取り外し可能な12インチ液晶画面が付属する壁掛けシステムで、離れた場所からリモコンで操作したり、画面を取り外してタブレットにすればソファの上に横になりながら使うこともできるという。Beckerはこれについて、従来のPCで行う電子メールやウェブサーフィンなど、テレビ画面での作業がやりづらい作業に適した表示オプションを用意するのが狙いだった、と説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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