ローランドは、最新のモデリング音源を搭載した電子アコーディオン「VアコーディオンFRシリーズ」2機種4モデルを発売すると発表した。
アコーディオンは、ベローズ(蛇腹)の開閉という身体的な動きを原動力にする楽器。シンプルな動作原理がもたらす豊かな表現力が魅力だが、この動作をデジタル音源により再現し、音楽の進歩に新しい可能性をもたらすことをコンセプトとして開発が進んでいた。
Vアコーディオンを演奏するアコーディオニストのcobaさん |
このモデルの最大の特徴であるベローズ部分には新開発のPBM(Physical Behavior Modeling)音源が採用されている。PBM音源は発音原理からアコースティック・アコーディオン各部の働きを数値化し、電子的に再現したもの。空気圧センサーによって蛇腹(ベローズ)の動きを把握するため、従来のアコーディオンと同様の感覚でプレイできる。発音体であるリードもモデリングで再現しているため、これまで調整が難しかった音色の設定も自在にできるという。
アコーディオンは世界各国で独自の進化をしたため、スタンダードが存在しない。そのため、奏法や機構も大きく違いがあり、習得したタイプの楽器以外は自由に演奏できないのがプレイヤーの悩みだった。デジタル化によってさまざまな音色を呼び出し、自分のスタイルで様々な奏法を演じることが可能となる。
発表会の会場ではアコーディオニストのcobaさんが登場し、実際にVアコーディオンの演奏を行った。cobaさんは「キーボードのように1つのアコーディオンで無限の音楽を表現したいと思っていた。21世紀になり、技術が進んだおかげで20年来の僕の夢が叶った」と話す。
デジタル化により、ヘッドホンをつなぐことで騒音を出すことなく夜間の練習ができるほか、定期的なメンテナンスが不要となる。スピーカーと接続すれば大音量での演奏も可能だ。
本製品はアコーディオンの本場イタリアに拠点を置くRoland Europe S.p.A.にて開発/製造される。価格はオープンだが、市場想定価格はスピーカー内蔵型の「FR-7G・FR-7R」が61万円前後、スピーカーを搭載していない「FR-5G・FR-5R」が50万円前後という。FR-7G・FR-7Rは2004年11月下旬より、FR-5G・FR-5Rは2005年2月のリリースを予定している。10月9日に池袋サンシャインシティで開催される「2004大楽器祭」では、cobaさんらがVアコーディオンを演奏するイベントも行うとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」