Sun Microsystemsは米国時間5日に、同社のハイエンドプロセッサ「UltraSparc IV+」の詳細を明らかにする。「Panther」(開発コード名)というこのチップは、現行のプロセッサに比べ、ほぼ2倍の処理速度を実現するという。
現行のUltraSparc IVチップと同じく、「IV+」も一片のシリコン上に2つのプロセッシングコアを搭載する。しかし、Pantherはより先進的な製造プロセスでつくられており、メモリキャッシュとクロックスピードの高速化が図られている点が、IVとは異なる。
UltraSparc IV+は、IVの発売からほぼ1年後となる、2005年半ばに登場する予定だと、同新チップのエンジニアリング担当ディレクターDale Greenleyは語った。同氏によると、IV+はまず1.8GHzのものが発売され、後から2GHz以上の高速モデルも投入される計画だという。なお、現在のUltraSparc IVで最も高速なのは、1.2GHzのモデルだ。
Sunは、この新チップの詳細を、カリフォルニア州サンノゼで開催されるFall Processor Forumで発表する。
Sunの経営状態は、3年間続いたスランプの後、ここにきてようやく上向きになってきている。だが、UltraSparcチップの前途にはいくつかの障害が待ち構えている。IBMが販売するPowerプロセッサは、同社のUnixであるAIXのほかに、Red HatやNovellの提供するLinuxを走らせることもできる。また、Hewlett-Packard(HP)はIntelと共同でItaniumファミリーのチップを開発している。さらに、IntelのXeonやAdvanced Micro Devices(AMD)のOpteronのようなx86チップも、着実に性能が向上してきている。
Sunではすでにデュアルコアチップを採用する戦略をとっており、x86チップ--なかでもAMDのOpteronをサーバに搭載することを検討しているところだ。また同社は、UltraSparc Vの開発こそ断念したものの、NiagaraおよびRock(共に開発コード名)という新たなSparcチップの開発を続けている。さらに、これと平行して、Sunは富士通と提携し、他のハイエンド向けSparcチップも開発している。
Sunでは、今後4年間にわたる長期計画を発表している。Niagara搭載サーバは2006年に登場予定で、富士通との共同開発モデルも同年に投入される。また、Rockを採用するサーバは2008年に登場することになっている。
UltraSparc IV+の製造は、IVと同じくTexas Instrumentsが担当するが、使われる製造プロセスは新しいものになる。 UltraSparc IVは130ナノメートルプロセスで生産されるのに対し、 IV+のほうは90ナノメートルだ。この製造プロセスの変更により、一片のチップに収められる回路の数が増加し、現在の6000万から約3億になると、Greenleyは説明する。
この新しい回路の大半はメモリだ。UltraSparc IVは、合わせて16Mバイト--1プロセッサコアにつき8Mバイト--のキャッシュ用メモリを積んでいる。これに対し、IV+では、2つのコアが共用する2Mバイトの直付けキャッシュと、別にパッケージされた32Mバイトのキャッシュという、2種類のメモリを搭載する。直付けキャッシュは別にパッケージされたものよりも高速である。
UltraSparc IV+では、クロックスピードの高速化に対応するため、「プリフェッチ」とよばれる命令の先読み機能が向上していると、Greenleyはいう。UltraSparc IVでは、こうした命令を伝達するため経路が1つしか無いのに対し、IV+では8つとなる。
さらに、この新しいプリフェッチ用経路と既存のデータ転送経路は、エラー訂正技術で保護され、1と0の転換が生じた際にはこれを検知できる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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