ソニー 取締役 代表執行役社長の安藤国威氏は10月5日、幕張メッセで開催中のCEATEC JAPAN 2004において、「『ブロードバンド・コンバージェンス』がもたらす新しいライフスタイル」と題した基調講演を行った。
ブロードバンド・コンバージェンスとは、インターネットのブロードバンド化によってITや通信、AVが融合していることを指す。安藤氏によると、ブロードバンド・コンバージェンスが最も進んでいるのは日本だという。例えば、店頭で販売されているデスクトップPCの約80%がテレビチューナを内蔵している。携帯電話はカメラ付き端末が一般化し、着うたなどのアプリケーションも豊富に揃っている。これらは世界の先端を走っており、今後は世界でもこの傾向が一般化するというのだ。
ソニー取締役代表執行役社長 安藤国威氏 |
では、今後世界的な競争が激化するなか、市場を拡大して競争を勝ち抜いていくためにはどうしたら良いのだろうか。安藤氏は、ブロードバンド・コンバージェンスがもたらす価値とは何なのかを理解する必要があると話す。ソニーが考える価値は2つ、経済価値と感動価値だ。
経済価値とは主にITによってもたらされるもので、効率や接続性といったものが挙げられるという。それに対し、感動価値は使いやすさやユニークさ、パーソナライズといったもので、これらはAVによってもたらされるというのだ。安藤氏は「ブロードバンド・コンバージェンスにおいては、経済価値と感動価値の2つが融合することで顧客に満足感を提供できる」と話す。
ソニーの取り組みとして、まず安藤氏はオープンスタンダードの採用とハイビジョン(HD)映像への取り組みを挙げる。ソニーはさまざまな規格の標準化に参画しており、Blu-ray DiskやDigital Living Network Alliance(DLNA)、CE Linux Forum、Coral Consortiumなどで主要メンバーの1社となっている。「世界的に標準を統一しないと市場は広がらない」と安藤氏は話し、今後も標準化活動を積極的に行っていく考えを示した。
HD映像については、「今までにない、現実に近い映像や音を表現できる」と安藤氏は語る。「一度ハイビジョンを経験してしまうと、もう元には戻れなくなる」(同氏)。ソニーでは放送局向けにHD対応の撮影・映像制作機材を提供するだけでなく、HDテレビや大容量のBlu-ray Diskレコーダ、個人向けのHDビデオカメラ、HD映像の編集が可能なVAIOなど、HD映像の撮影から編集、保存までをシステムとして提供する体制を整えている。「技術的には“Ready to go”で、あとは一般の人に知ってもらうだけだ。ここから日本発の流れが生まれるだろう」(同氏)と自信を見せた。
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