ソニーが有機ELダイオード技術(OLED)を使った次世代ディスプレイの量産を開始する。
同社は米国時間14日、今月からOLEDパネルの生産を開始し、これを携帯端末CLIEの新製品「PEG-VZ90」に搭載すると発表した。なお、同社は日本以外の市場向けの携帯デバイスの生産を中止している。多くのアナリストは、ソニーが技術的理由からOLEDディスプレイの生産を延期すると予測していた。
同社の発表によると、量産が始まるディスプレイの大きさは3.8インチ、画面解像度は480x320ピクセルで、26万2144色を表示可能。また視野角はおよそ180度となっている。
OLEDディスプレイは、電流が流れるとなかの物質が発光する仕組みになっている。OLEDはバックライトが不要なため消費電力が少なく、また現在業界で人気の高い液晶ディスプレイ(LCD)よりも薄型の画面を実現できる。
アナリストらの予想によると、OLED技術の市場規模は今後数年で数百万ドルから数十億ドルへと成長するとされているが、しかしOLEDが近い将来LCDを駆逐するとまでは考えられていない。OLEDディスプレイは現在、デジタルカメラや携帯電話、電気かみそりなどの小型デバイスで使われている。
ソニーは、OLEDやLCDなど、家電製品用ディスプレイ技術の開発に積極的に投資してきており、OLEDディスプレイの生産にあたっては、豊田自動織機と手を組み、両社の合弁会社エスティ・エルシーディを設立。なお同社では現在LCDを生産している。
ソニーはまた、Samsungとの間でS-LCDという合弁会社も設立している。同社は大型のLCDパネルを開発し、需要が伸びつつある液晶テレビ向けにパネルの安定供給を確保することを狙っている。LCD市場はこのところ非常に不安定で、同社のテレビ事業の収益率に影響を及ぼしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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