Linux販売最大手のRed Hatは、オープンソース製品の品揃えを拡充するため、Time WarnerからNetscapeサーバソフト製品群を2050万ドルの現金で購入したと、両社が米国時間9月30日に明らかにした。
Red Hatでは、Netscape Enterprise Suiteをオープンソースソフトウェアとしてリリースすることを計画しており、だれでも同製品の利用、修正、再配布が可能になる。同社CEO(最高経営責任者)のMatthew Szulikは、30日にニューヨークで行われた同社のアナリスト向け説明会のなかで、これは「オープンソースアーキテクチャ」という同社の進める計画の新たな一歩だと語った。同社は現在、この計画に基づき、中核であるLinux OS以外にも製品の幅を広げようとしている。
Red Hatは、米証券取引委員会(SEC)へ提出書類のなかで、この買収に関してすでに2050万ドルを支払っており、また顧客が30日までに同ソフトウェアを発注した場合、さらに250万ドルを支払うと述べている。
Szulikは29日のインタビューのなかで、Netscape Enterprise Suiteは、Red Hatが「大企業や政府関連の市場にさらに深く浸透する」のに役立ち、いずれは顧客がRed Hat Enterprise Linuxにもっと投資するようになると語った。これらの新しいソフトウェアは、今後6〜12カ月以内に現行のRed Hat製品に組み込まれることになる。
これらの措置により、Sun Microsystems、Microsoft、Novellといった、同じ市場にプロプライエタリな製品を投入するライバル各社に対して、オープンソースで挑むRed Hatの攻撃が拡大する。Red Hatの新しいソフトウェアには、ユーザー名やアクセスポリシーといった情報を管理するNetscape Directory Server、ユーザーIDや暗号化処理を管理するNetscape Certificate Serverが含まれる。
さらに、今回の動きによってNetscapeの長い歴史にまた新たな1ページが加わる。同社のソフトウェアは1990年代にインターネットブームの火付け役となった。
現在はTime Warnerの一事業部となっているAmerica Onlineが、1998年に42億ドルでNetscapeを買収したが、これらの製品はその時Time Warnerの手に渡ったものだ。この際に、SunもiPlanet、Sun Open Network Environment、Java Enterprise Systemなどの製品で使われているNetscapeの知的財産と、同社のプログラマーの多くを引き受けた。
だが、Sunのアプリケーション/開発プラットフォーム担当バイスプレジデント、Joe Kellerは、同社がこの時入手したものはSunが今保有しているものとは完全な別物だと述べている。
「彼らは時代遅れのソフトウェアを買おうとしている」とKellerは述べ、さらにRed Hatの戦術変更はとてもまぎらわしいと付け加えた。「Red Hatは、以前ならオープンソースのなかでも最良のものを提供していたものだった。しかし今ではもっとも古くからある商用のソフトウェアを買って、それをオープンソースにしようとしている」(Keller)
しかし、Netsacapeのサーバソフトは、決して1998年当時から変化していないわけではない。同社はNetscapeから50人弱のプログラマが移っており、またディレクトリサーバソフトは現在Hewlett-Packard(HP)のWeb Server Suite for Unix製品に含まれている、とSzulikは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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