今年6月に行われたApple Computerの開発者向けイベント「WWDC」で、Steve Jobsの基調講演が始まる前の明かりの落ちた会場内に、「Magical Mystery Tour」のおなじみのメロディーが流れた。
すると、これを耳にした会場の参加者の間でどよめきが起こった。Apple ComputerがBeatlesの設立したApple Corpsとの商標訴訟で和解に達したのか?Appleの最高経営責任者(CEO)がiTunesミュージックストアと同バンドの残りのメンバーとの歴史的な提携を発表するのか?
だが、答えはどちらでもなかった。そして音楽業界の情報筋らは、まもなく両者の和解が成立するとの噂が最近流布していることについても、同様に根拠のないものだと述べている。しかし、Appleウォッチャーらはこのような提携の可能性に対して望みを捨てきれていない。
音楽業界の情報筋は、Beatlesの残りのメンバーの代理人がようやくデジタル配信についてオンライン企業と意見交換を始めたこと、ならびに6カ月の独占利用契約に最高1500万ドルを要求していることを明かしていた。この数字を聞いた一部の観測筋は、これだけ高い金額を払える会社はApple Computerしかなく、すでに数百万ドルの支払いが行われている訴訟の和解条件に、このオンライン配信の契約金支払いが組み込まれることになればなおさらだ、と主張している。
Jupiter Researchのアナリスト、Michael Gartenbergは、「差別化の難しい市場では、どのようなものでも役に立つだろう。(訴訟関連の)和解条件としてiTunes関連の何らかの契約があっても意外ではない」と述べている。
両者の弁護士は、訴訟の進行状況に関するコメントを控えている。Apple Computerは、この問題について先ごろ出した声明の内容を繰り返し、「この契約についての両者の解釈が異なっており、その解決を法廷に委ねることが必要になるだろう」と述べた。
ハリウッドの業界誌Daily Varietyが先週、両者の和解の可能性を伝えたことから、このところ関係者の間ではこれに関する推測が飛び交っている。この記事は、Apple ComputerとApple Corpsの和解が近づいているとし、これが「世界の法曹史上最大の和解」になるだろうというある法曹関係の情報筋の談話を載せていた。
しかし、音楽業界の情報筋は、この記事には根拠がないとしている。
法律の専門家らは、Varietyの記事通り、この和解が本当に集団代表訴訟以外の和解として最大規模のものになるのかについても疑問を呈している。
知的所有権を専門にする弁護士で、マサチューセッツ州ボストンを拠点とする法律事務所のBromberg & Sunsteinの設立パートナーでもあるLee Brombergは、「私ならかなり割り引いて聞く。これまでで最大級の和解になるようなことは想像できない」と語った。
Apple ComputerとApple Corpsの商標を巡る訴訟は、今後数カ月あるは数年は続くと思う、と法律の専門家らは述べている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」