JPMorgan Chaseは米国時間15日、IBMと交わしていた総額50億ドルに上る複数年のアウトソーシング契約をキャンセルすると発表した。ITアウトソーシングが劇的な成長を遂げるなかで、これは異例の動きといえる。
JPMorgan Chaseは、2002年後半にIBMとこの7年契約を結んだが、先ごろ同行とライバルのBank Oneとが合併した結果、自社のグローバルなサービスのニーズを社内で処理できるようになったため、IBMとの契約をキャンセルすることにしたと語った。IBMにとって、大々的に宣伝してきたこの契約がキャンセルになることは、大口取引先が減るという点では大損害だが、ただし財務面の影響はさほど深刻ではないようだ。
IBMは15日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類のなかで、「今回の契約はまだ実行の初期段階にあったため、IBMは引き続きこの契約のための投資を行っていた。2005年時点で比較すると、契約解除はIBMの1株あたり利益にプラスに影響し、年間の業績にも全く影響はないと予想している」と述べている。
それでも、この契約の解除は第3四半期決算の一部として修正される受注残に影響するだろう、と同社は指摘している。なお、IBMは第3四半期決算を10月に発表すると見られている。
JPMorganは、IBMが期日を守れなかったといった不手際は一切なく、同社のサービスに満足していた、と語った。同行はIBMに対して全くキャンセル料を支払っておらず、解約による財政面への「実質的な」影響は全くなかった、としている。
この契約では、データセンターやヘルプデスクの運営からデータ処理まで、JPMorganのIT関連の主な作業をIBMが行うことになっていた。
契約発効直後の2003年前半には、JPMorgan社員と請負業者の合わせて約4000人がIBMに移動した。IBMでは来年1月からほぼ同数の従業員をJPMorganに復帰させる。
JPMorganのCIO(情報統括責任者)、Austin Adamsは、「自社の長期的な成長や成功、そして株主のためには、社内技術インフラは自分たちで管理するのが最適だと考えている。(Bank Oneとの合併によって実現した)新たな力が競争上のアドバンテージとなり、技術革新を促進するため、われわれjは効率的で有能な金融機関になれるだろう」と述べた。
しかし同氏は、IBMは同行との提携を継続し、各部門にサービスと製品を提供していくと指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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