インターネット小売大手のAmazon.comは、同社のインターネット検索エンジンを正式に発表し、Googleを検索業界ナンバー1の座から引きずり降ろす競争に参入した。
Amazon.comの独立部門A9.comは14日夜(米国時間)、新バージョンのウェブサイトを公開した。同サイトでは、ウェブ検索をパーソナライズ可能にするため、4月にテストバージョンで公開された当初の機能が、大幅に拡張・整理されている。A9では、ユーザーがこれまでに開いたウェブページのナビゲートや注釈付け、保存が可能だ。また、ちょうどTiVoデジタルビデオレコーダーがユーザーの嗜好に基づいてテレビ番組を推薦するのと同じように、A9でもユーザーの好みに合いそうなサイトを推薦する。
A9は競合する他の検索プロバイダとは異なり、検索結果を拡張可能なコラム形式で表示する。同サイトのデフォルト表示では、検索結果のリンクと概要のコラム、画像スナップショットのコラム、そして本や映画の情報へのリンクなど、特定の検索結果のコラムを別途開くためのボタン群が並ぶ。
またユーザーのウェブ閲覧履歴を記録し、履歴にアクセスしたり、検索したりできるA9ブランドのツールバーも提供されている。ユーザーがパーソナライズされた自分の検索履歴を見るためには登録が必要となる。
「検索を1段階先へと進め、われわれが求める情報を整理するという発想だ。われわれは記憶機能つきの検索エンジンを構築し、それをユーザーが自分で整理できるようにしたかった」とA9の責任者、Udi Manberはインタビューに答えてそう語った。
検索業界では、GoogleやYahoo、MicrosoftのMSN、Ask Jeevesなどの競合他社が、いずれも儲けの多い検索結果への有料広告リンクでさらに多くの利益を上げようと競っているが、Amazonは競争の激しいこの市場に足を踏み入れようとしている。主要検索プロバイダの間では、特にウェブユーザーが欲しい製品やサービスを見つける際の決定的手段となるショッピング検索が主な競争の舞台となっている。Amazonによる検索分野への進出は、オンラインコマースを推進する上で検索サービスの重要性がますます高まっていることを浮き彫りにするものといえる。
Amazonが2003年秋にA9サイトを立ち上げることを最初に発表した際、同社の市場での目論見について疑問の声が沸き起こった。Amazonが世界最大のショッピングポータルでありながら、A9が客観的なウェブ検索プロバイダでありえるのだろうか、といった疑問は依然として残っている。
「A9が、今はおとなしくしているがすぐにも襲い掛かろうとしているAmazonのショッピングツールなのか、それともAmazonとの関連は表に出さないパートナーなのかは、判断が難しい」とJupiter Researchのアナリスト、Gary Steinは述べている。
A9はGoogleとAmazonの子会社Alexaの検索技術を使用し、GuruNetやInternet Movie Databaseなどの情報源から参照情報を引用している。またA9は、Googleから提供される有料広告リンクを表示している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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