液晶ディスプレイ(LCD)市場の不安定さに対する懸念が高まるなかで、米国時間22日に新規株式公開(IPO)を果たしたLG.Philips LCDの株価は、結局約7%値下がりして初日の取引を終えた。
Royal Philips ElectronicsとLG Electronicsの合弁会社である同社の、ニューヨーク証券取引所(NYSE)における公開価格は1株あたり15ドルだったが、その後の取引で1ドル値下がりした。同社は、LCD市場におけるトップの座をSamsung Electronicsと競り合ってきており、現在は同市場で2位につけている。
この株価の落ち込みは、フラットパネル市場の見通しが徐々に悪化していることを示すものだとアナリストらはいう。
「LCDの価格はサイズを問わず下がってきており、その分だけ利幅が薄くなってきている」とiSuppliのシニアアナリストVinita Jakhanwalは述べ、「そのため、市場はLG.Philips LCDの価値を低めに評価したのだろう」と付け加えた。
同社は、大型の液晶ディスプレイシートを生産しているが、テレビやデスクトップモニター、ノートPCなどさまざまな製品に搭載されるディスプレイは、このシートから切り出されたもの。
アナリストらは、同市場の不安定さを、成長途中の痛みだとしている。液晶ディスプレイ市場は、売上、出荷台数ともに順調な伸びを見せた後、成長速度が鈍化。出荷台数は予測を下回り、また大規模な生産能力を持つ新工場が稼働し始めたことから、同市場は供給過剰となっている。今後は、新たに稼働する工場の数が減り、メーカー間の整理統合が進むため、出荷台数の変動も緩やかなものになると見られる。
ニューヨークとソウルの株式市場に同時上場を果たしたLG.Philips LCDは、当初20億ドルの資金を調達する予定だったが、途中で10億ドルまで目標額を引き下げた。また公開価格の1株15ドルは、同社の15〜18ドルという希望価格帯のうち最も低い価格にあたる。
LG.Philips LCDでは、IPOで調達した資金を工場の建設費用にあてる。この工場では、液晶テレビ用の大型パネルを生産する。テレビ用のLCDパネルはPCモニター用のものより利幅が大きい。ライバルのSamsungはソニーとの合弁会社S-LCDを設立し、同様の液晶パネル工場を完成させている。
こうした状況であるにも関わらず、アナリストらは、LCDパネルの売上が今後拡大すると予測する。iSuppliによると、2003年度の全世界における液晶パネル市場の売上は357億ドルだったが、今年の売上は昨年を32%上回り、470億ドルに達する見込みだとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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