米司法省が提起したOracleに対する反トラスト訴訟で、連邦地裁が9日(米国時間)にOracle勝訴の判決を下した。PeopleSoftは過去1年間、ライバル企業Oracleによる総額77億ドル規模の敵対的買収に対し抵抗し続けてきたが、同判決が下されたことにより、今後買収に対する抵抗は一層困難になりそうだ。
Oracleは9日の判決が下ると、直ちにPeopleSoftの取締役会に対し書簡を送付し、Oracleが最近行った申し出を受け入れるよう同社に圧力をかけた。一方のPeopleSoftは判決を受け、(判決の)影響を検討中だと語った。
Prudential Financialの証券アナリストBrent Thillは判決後に公開したリサーチノートの中で「PeopleSoftの取締役会は、Oracleが提示した1株あたり21ドルという買収提案について真摯に検討し、誠意を持って交渉に臨まなければならない状況に徐々に追い込まれつつあるようだ」と述べた。
業界関係者は、いくつかのシナリオが考えられるが、短時間ですっきりした結果が出るとは期待できないと語る。
今後Oracleが直面する可能性がある障害としては、米司法省による控訴と、欧州の規制当局によるOracleの買収計画の再検討が挙げられる。Oracleがこれらの潜在的障害に対処している間にPeopleSofはOracleとの戦いを回避するための時間稼ぎができるが、同社がOracleの買収攻勢を永久に回避できる可能性は低いと専門家は指摘する。
Wilson Sonsini Goodrich & Rosati法律事務所に所属し、反トラスト訴訟でOracle側の弁護活動の指揮を取ったChris Compton弁護士は、Walker判事が下した判決により、司法省は大打撃を被ったと語る。
Compton弁護士は、「判事が判決の中で、司法省が1つではなく多くの点でミスをしていると述べたことから、控訴は難しいだろう」と述べ、さらに「判事は、政府が証明すべき全ての重要な争点について、立証を行なわなかったと述べている」と語った。
仮にこの見解が正しければ、敵対的買収提案に対してPeopleSoftが講じてきた主な対応策は「ポイズンピル(poison pill)」と呼ばれる乗っ取り防止策だったということになる。最大の問題は、PeopleSoftの取締役会がOracleの買収を阻止するために乗っ取り防止策に固執するのか、あるいはPeopleSoft 株を全額現金で買い取るとのOracleの申し出を受け入れ、株式を現金化したい株主からの高まる圧力に押されて防止策を放棄してしまうのかという点だ。仮に十分な人数の株主が合併に賛同すれば、PeopleSoftは交渉の席に着かざるを得ない状況になるが、業界関係者はそうなる可能性が最も高いと見ている。
AMR ResearchのアナリストJim Shepherdは「(PeopleSoftの)取締役会は大手機関投資家の意向を見極めるのだろう」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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