米同時多発テロに関する独立調査委員会(9・11委員会)が先頃まとめた報告書に対応して7日(米国時間)に議会に提出された法案には、バイオメトリックIDを容認し、運転免許証を連邦政府が定めた基準に準拠させるよう各州に義務付け、さらに米国の諜報機関で使用される全てのコンピュータを連結させるという大作業に着手する、などの内容が盛り込まれている。
John McCain(共和党、アリゾナ州選出)とJoe Lieberman(民主党、コネチカット州選出)の両上院議員が提出した同法案は、諜報機関の全面的再編や国家情報責任者という新ポストの創設などを求める内容になっている。
McCainは「議会は早急かつ慎重に9・11委員会の提案を検討し、国家の安全性をさらに高めるために必要な改革を実行しなければならない」と述べ、さらに「われわれは依然として重大な脅威にさらされており、国家安全保障を最優先課題とすべきだ」と語った。
281ページにわたる同法案は非常に長くかつ複雑だ。以下は同法案の条項の一部である。
最も広範囲に実施される改革の中に、コンピュータネットワークなどを通じて行なわれる連邦機関同士のデータ共有方法がある。同法案は大統領に対し、「関連する全ての」連邦/州機関および民間部門の間でデータ交換を行うための「情報共有ネットワーク」の構築を命じている。
後にNational Intelligence Authorityとなりうる機関の最高情報責任者(CIO)は、「情報コミュニティのためのエンタープライズ・アーキテクチャ」の策定という大役を任されることになる。
同法案に記されているその他の要求事項としては、機密情報を含む全ての関連情報への「直接的かつ継続的な電子的アクセス権」を各機関に与える;「重複した情報技術」は排除する;情報コミュニティ全体に適用する基準を策定する、などが挙げられる。
米国自由人権協会(ACLU)は7日、同法案のいくつかの条項について懸念を表明した。
ACLUは声明の中で、「(連邦政府が定める運転免許証の基準は)国家的なIDカードシステムを作ろうとする政府の企てにつながりかねず、プライバシー、自由、安全に対する重大な脅威となりうる」と述べ、さらに「人種、宗教、民族に対する偏見や違法な差別が増加しかねず、またIDの不携帯が少数民族に対する不当な捜査、拘留、逮捕の口実になりかねない」と指摘した。
McCainとLiebermanの両上院議員は、同法案に多少変更を加えた上で上院を説得し、10月上旬までに承認させたいとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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