Microsoftは米国時間8月27日、Windowsの次の大型アップデートとなる「Longhorn」を2006年後半に出荷すると発表した。
2006年末までにLonghornを出荷するために、WinFSの完全実装は見送られることになった。WinFSはファイルの形式を問わずに、必要な情報を迅速に検索することのできる野心的なファイルシステムだ。
今後2年間は、この新たな期日が守られるかどうかが、IT業界の大きな話題となるだろう。Longhornはそもそも、2004年にお目見えすると期待されていたもので、出荷時期がさらにずれ込めば、PC全体の売上に悪影響を及ぼす可能性があると危惧されていた。
MicrosoftがLonghornの出荷に手間取っている間に、デスクトップ市場ではLinuxの人気が高まり、Microsoftの独占を脅かしはじめている。インターネットではGoogleが強力なライバルとして浮上してきた。果たして、Longhornにはこうした動きを封じ込めるだけの魅力があるのか。IT業界の今後は、こうした争いの行方にかかっている。
8月27日、Microsoft会長のBill GatesはCNET News.comの独占インタビューに応じ、Longhornの計画変更と新たな機会について語った。
--Longhornの計画を変更したいきさつを教えてください。
Windowsは世界でもっとも広く利用されているソフトウェアです。これほど用途が広く、また改訂によってもたらされる利益の大きいソフトウェアはありません。だからこそ、われわれはWindowsの研究開発に莫大な投資を行っているのです。
われわれがLonghornのビジョンやその他の事柄について初めて具体的な話をしたのは、昨年の開発者向けカンファレンス(PDC:Professional Developers Conference)でした。ただし、その後われわれはSP2の開発に最優先で取り組みました。SP2はセキュリティに重点を置いたものだったからです。また、長年暖めてきた製品--Media(Windows XP Media Centerの新バージョン)とTabletのリリースもありました。
そして一段落ついたとき、Jim(Allchin)と部下のBrian Valentineは社内を見渡し、こういいました。「会社は今、どんな状況にあるのだろう。ISV(独立系ソフトウェアベンダ)や顧客からのフィードバックを教えてほしい」。そして、われわれはその内容をもとに、Longhornに関する計画を練り直しました。その結果が、今日発表した新しい計画です。
われわれがLonghornの発売時期を明言したのは今回がはじめてです。ソフトウェアプロジェクトの場合--特に、きわめて広範な互換性と機能が求められるWindowsの場合、出荷時期を特定するのは非常に難しい。しかし、今回は開発がかなり進んでいたので、発表に踏み切ることができました。過去の経験に照らして、そうするべきだと判断したのです。
--具体的には、何が変わったのですか。
本日お話しした通り、Longhornの3つの柱の1つを、当初の計画とは違う形で提供することにしました。実際にはすべての柱について、変更が加えられるわけですが、IndigoとAvalonに関しては、対応機種の裾野を広げることがメインになります。これにより、Longhornだけでなく、Windows XPのユーザーもこれらのソフトウェアをダウンロードして、利用できるようになりました。これは小さなファイルではありませんが、現時点では十分にダウンロードする価値のあるものです。
もっとも大きな変更が加えられたのはWinFSです。本格的なデータベースがなくても、既存のテキスト技術を利用すれば、Windowsの検索機能を大幅に強化できることが分かりました。この技術はすでにOfficeで使われているもので、MSNでもこの技術を利用したローカル検索サービスがはじまろうとしています。
ともかく、この技術を使えば、検索機能の操作性を大幅に改善することができます。ただし、検索性能を飛躍的に向上させるためには、データベース型のシステム統合--つまり、SQL言語やXMLアクセス技術を統合することが不可欠です。しかし、Longhornに搭載される予定だったWinFSは、そのごく一部しか実現できていませんでした。
また、Longhornの計画では、当初からWinFSのサーバ対応は予定されていませんでした。これはPDCの時点ですでに決まっていたことです。
そういうわけで、2006年に出荷するLonghornでは検索機能を強化し、WinFSはLonghornとは別に開発プラットフォームとして、また、データベースサーバを出荷する際に、一種の情報管理シェルとしてリリースすることにしました。
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