「それでもグラスは4分の3まで満ちている」:ゲイツ、Longhornを語る - (page 2)

Michael Kanellos and Ina Fried(CNET News.com)2004年09月02日 10時00分

--PCメーカーの反応はいかがですか。

 もちろん、主要なパートナーとは協議を重ねてきました。ISV各社ともそうですし、IntelやHewlett-Packardといった企業ともそうです。

 パートナー企業各社はそれぞれの利害関係に基づいて、異なる視点からWindowsのリリースを見ています。たとえば、Intelが求めているのは最新チップへの対応、ウルトラワイドバンドへの対応、WiMaxへの対応、さまざまな省電力機能やマルチコア(への対応)などです。いずれにしても、われわれはIntelと協議しながら計画を進めてきました。今回発表された新しい計画は、Longhornの全貌と発売時期が明らかになり、ほぼ希望通りのハードウェア対応が行われることになったという点で、Intelにとっては非常に好ましいものとなっています。

--Longhornを書き直すことになった最大の原因は何ですか。パートナーからの要望ですか、技術的な課題ですか、それとも社内の開発体制や経営上の問題ですか。

 書き直しをしているわけではありません。確かに、WinFSは非常に野心的な試みです。いまだかつて、文書とメディア、そして構造化データを区別なく扱い、それをシンプルなコマンドで検索/移動/複製することのできる技術は存在しません。

 15ヶ月ほど前に、データベース部門のPeter SpiroをWinFSチームの責任者に据えてから、このチームは大きな成果をあげてきました。しかし、WinFSに新機能を追加するためには、Longhornのリリースを2007年まで延期しなければならないことが分かったのです--具体的には、テーブル関連の追加やサーバ対応といったことです。

 この2週間、Jim、Peter、Steve(Ballmer)、そして私はある問いに対する答えを模索してきました。Longhornの出荷を2007年に延期してでも、WinFSに革新的な新機能を追加するべきか、それとも、もう少し賢明で、最小限の犠牲で済む計画に変更すべきか、という問題についてです。

 そして結局、われわれはWinFSの搭載を見送ることにしました。しかし、私は今回の決定をプラス思考で捉えています--「グラスは4分の3まで満ちている」とね。

 WinFSチームは進捗の面でも、パフォーマンスの面でも、すばらしい仕事をしてくれています。それでも、新機能の搭載を2006年の出荷に間に合わせることはできませんでした。「新機能を搭載するためには、リリースを2007年に延期する必要がある」--はっきりとそういうことも、プロの技術者の仕事だと思います。

--最近、ソフトウェアの開発が長期化する傾向にあるようです。SP2は仕様が拡大した感がありますし、YukonやWhidbeyのリリースは延期されました。ソフトウェアのプログラミングはこれまでよりも複雑になっているのでしょうか。会社として、何か対策を講じる予定はありますか。

 OS360(IBMのかつてのメインフレームOS)に比べれば、Longhornのスケジューリングと予測可能性が劣っているとは思いません。ソフトウェアが昔よりも複雑になったわけではありません。高度な機能と互換性が求められるソフトウェアであれば、複雑なのは当たり前です。それがITの世界なのです。

 われわれが顧客、ISV、OEM(Original Equipment Manufacturers)ベンダーと交わしている会話は、2つに種類に分けることができます。1つは、期日主導のリリースに関するもの。この場合は期日が重要で、その期日に間に合う機能を提供することになります。MSNの場合は、ほとんどが期日主導のリリースです。市場の特性上、リリースはきわめて頻繁に行われており、互換性の問題もありません。

 一方、OSの場合、顧客はだいたい2、3年の間隔でリリースが行われることを望んでいます。新しいハードウェアの利用を促し、メディア、セキュリティ、ワイヤレスへの期待に応えるためには、このくらいのペースで新しいOSを提供していかなければなりません。実装や試験の手間を考えると、このペースでも厳しいくらいです。2年もたたないうちに大規模なOSのアップデートを行うのは現実的とはいえません。

--あなたがLonghornを発表したときは、誰もが大きな賭けだといいました。計画が一部変更された今でも、Longhornは大きな賭けですか。また、この賭けに挑戦する気持ちに変わりはありませんか。

 Longhornは巨大な賭けです。Longhornを機に、.Netマネージドコードの利用はさらに進むでしょう。このプロセスは一朝一夕で完成するものではありません。われわれはLonghornの前からこれに取り組んでいますし、Longhornの後も取り組みは続くでしょう。しかし、主流化という意味では、Longhornは一つの大きな節目になる--Longhornはマネージドコードが多数のクライアントに組み込まれる、大きなきっかけとなるはずです。

 われわれは現在、きわめて先端的な研究に取り組んでいます。一般に期待されているような高度な検索機能は、2006年に出荷されるLonghornで実現されるはずです。しかし、そのすべてを統合する画期的な新技術は、まずはLonghornとは別にリリースされ、Longhornの次のWindowsに組み込まれることになるでしょう。

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