「北斗の拳」などのパチスロ、パチンコ遊技機器メーカーとして知られるサミーの子会社で、主に携帯電話向けコンテンツの企画、開発、配信を手掛けるサミーネットワークスが9月1日に東証マザースに新規上場する。携帯電話の用途が一段と広がりをみせるなかで、ゲーム関連コンテンツの新たな可能性を探る企業として、市場関係者の注目を集めている。
同社の主力はアミューズメント事業で、親会社であるサミーの販売するパチンコ、パチスロ機のアプリケーションやカジノゲームを携帯電話向けゲームとして提供している。前3月期は、大ヒットしたサミーの「北斗の拳」のスロットアプリを投入したことで会員数が急増し、期末会員数は97万人に達した。前期末現在でこの事業の売上構成比は約60%を占めている。
第2の柱となっているサウンドコミュニケーション事業では、1万曲以上の着信メロディを保有する「プラチナメロディ」シリーズなどの配信を行っている。着メロ市場は全体としてはすでに飽和状態となっているものの、「音質の良さにこだわることで、今後も会員数の増加が見込める」(代表取締役社長 大野政昭氏)としている。前期末時点での会員数は100万人で、売上構成比では約30%となっている。第3番目の事業としては、エンタテインメント事業がある。この事業では、アーティストのファンクラブサイト運営、Eコマース(電子商取引)などを手掛けている。
今後の事業展開については、ゲームの高品質化、パソコンとの連動(パチンコやパチスロ関連のゲームをパソコン向けの品質の高いコンテンツとして完成させ送り込む)により、1人当たりの客単価の向上と会員数の増加を図ることが大きな目標となっている。「中期的には会員数500万人を目指す」(大野氏)としている。さらに、携帯電話で読むオリジナル漫画(モバイルコミック)など新規事業に注力することに加え、中国、欧米など海外にも展開する計画だ。足元2005年3月期の同社の単独業績については、売上高50億300億円(前期比51%増)、経常利益13億100万円(同69%増)、税引き利益7億5900万円(同2倍)と大幅な増収増益を見込んでいる。
なお、同社の73.76%の株式を保有する親会社のサミーは、業務用のゲーム機器大手のセガと経営統合する予定で、共同持ち株会社(セガサミーホールディングス)の上場は10月1日(セガ、サミーともに9月27日に上場廃止予定)。割り当て株数は、サミー1株に対して持ち株会社株1株。セガ1株に対して持ち株会社株0.28株となる。新たに発足する持ち株会社のセガサミーの今3月期連結営業利益は1000億円を上回る見込みで、経営統合後の成長力は期待が寄せられている。
9月1日に東証マザーズに新規上場するサミーネットワークスの上場後の株価動向について、準大手証券の新興市場担当のアナリストは「サミーネットワークスの公開価格は130万円で、今期の予想1株当たり利益5万8106円で試算した今期の予想PERは22倍と、割高感はない。最近の新規公開市場での初値は、7月前半までの“公開価格に対して2倍、3倍当たり前”という状況からは様変わりしている。したがって、同社の場合も携帯電話コンテンツ関連という人気業種であることを考慮しても、初値が公開価格の2倍を超えることは難しいのではないのか。さらに、9月1日は、同社のほかにも同時に3社が新規公開となるため、投資資金がかなり分散することになる。したがって、初値は200万円前後の水準になるのではないのか」としている。
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