欧州の反トラスト法規制当局が、MicrosoftとTime Warnerがデジタル権利管理(DRM)企業ContentGuardを共同買収する計画について、より踏み込んだ調査を実施することになった。今回の当局の動きは、買収計画には不利になるものと見られる。
先ごろ買収計画の暫定審査結果をまとめた欧州委員会(EC)は、買収計画を進めることを認めるか、もしくは綿密な第2段階の調査を行うか、いずれかの選択肢をとることになっていた。ECは決定期限とされていた25日(現地時間)に今後の計画を発表した。
ECは声明のなかで、「ECでは暫定審査を踏まえ、この買収計画がDRMソリューション市場におけるMicrosoftの独占的地位を生み出す、あるいは強化するおそれがあると考えた。Microsoftが他の市場と垂直統合を図ることにより競争上どのような懸念が生じるかについても、調査の過程でさらに詳しく調べていく」と述べている。
Time Warnerの関係者は、同社とMicrosoftがECに全面協力しているということ以外は、両社とも特にコメントすることがないと述べている。「複雑な分野なのだ」とこの関係者は話している。
MicrosoftとTime WarnerではContentGuardの買収を、成長中のDRM市場への強力な足がかりとして考えている。DRMとは、楽曲やビデオなどのコンテンツの不正コピーを防ぐ技術だ。
再審査の決定により、ECは2005年1月6日までに、買収計画に対する最終判断を示すことになる。もしもECが、買収について欧州の反トラスト法に違反すると最終的に判断すれば、ContentGuardは大市場である欧州での事業を禁止されることになるため、MicrosoftとTime Warnerの買収計画がつぶれる可能性もある。
ECでは、DRM技術が今後、秘密保護の目的、特に企業文書の伝送の安全確保にますます利用されるだろうと述べている。
欧州委員会はまた、この買収によって「(デジタル権利)ソリューション市場における(Microsoftの)支配的な立場」が生じたり、あるいは強化されたりする可能性を調査することにした、と声明で述べている。
またMicrosoftとTime WarnerがContentGuardを共同所有することから、ContentGuardが自社のDRM製品を利用して、この分野におけるMicrosoftの競合企業を不利な立場に置く「インセンティブと能力を」兼ね備えるおそれがある、とECは懸念している。
「この共同買収は、オープンな相互互換性を確保する標準技術の開発をスローダウンさせるおそれもある。また、(DRM)ソリューション市場が現在の支配的プロバイダであるMicrosoftに合わせる形で歩み寄ることになるだろう」とECの声明には記されている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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