Googleは米国時間18日、同社の新規株式公開(IPO)に関して、売出価格を1株あたり85ドルに設定した。同社は、この決定に至るまでにさまざまな障害を乗り越えなくてはならなかったが、株価は結局先に引き下げられた予想価格帯の下限に落ち着いた。
同社の株価は19日にも取引が開始される。なおティッカーシンボルは「GOOG」になる予定。
この公開価格は、当初想定されていた1株あたり108〜135ドルという価格帯を大きく下回るものの、同社が18日に発表した改訂後の予想価格85〜95ドルの範囲には収まっている。
「Googleの株式は現在、ほぼ適正な価格範囲内にあると言える」とHusic Capital ManagementのポートフォリオマネージャーのTom Wymanは言う。「この価格レベルはYahooの評価より約20%安いことになるが、妥当なものだろう。この差の理由として、Yahooは収益源を多様化させているのに対し、Googleには1つしか収益源がない。また、Yahooの株式は1種類だがGoogleは2種類存在する。さらに、Yahooは次年の財務ガイダンスを提供しているが、Googleにはガイダンスがない、などの点が挙げられる」(Wyman)
Googleおよび同社の株式を売り出す株主は、珍しいダッチオークション形式のIPOで1960万株を売却し、16億6000万ドルの資金を調達した。これは、資金力のある投資銀行のクライアントよりも、普通の投資家の手により多くの自社株式が渡るようにすることを狙ったものだった。また、ドットコムバブルの絶頂期に見られた不正な公開株の取引に対する調査の要因となった、ウォールストリートとその排他的な体質への非難だとも受け止められている。
だが、Googleの革命は自分で蒔いた種から生じた問題に直面した。
GoogleはIPOの数日前、米証券取引委員会(SEC)と各州の規制当局が、Googleが一部のインサイダーにストックオプションを支給した経緯に関して非公式の取調べを開始したことを明らかにした。その後、Google共同創業者のインタビューがPlayboy誌に掲載されたことが注目を集め、公開が遅れるのではないかと危ぶまれていた。
このような懸念材料があったにもかかわらず、SECは結局18日遅くにこのIPOにゴーサインを出した。
SEC等との問題に加え、精彩を欠いたロードショーでのプレゼンテーションや、新しい投資家ではなくインサイダーに有利となるように見える取引条件をめぐって、機関投資家の間ではGoogleのIPOに対する懐疑論が高まっていた。
オークション形式では、販売された全株式のなかで最高値となった価格を提示した者が公開される株式を受け取ることになる。IPO株式が公開市場で取引されるようになると価格が大きくつりあがる可能性があるが、オークション形式は最高入札値に依存していることから、場合によってはこのような価格の急騰が抑えられることになる。
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