複数のネットワーク企業がつくるコンソーシアムで、次世代無線ネットワーク技術の標準仕様を提案する準備が整った。これにより、次世代標準をめぐるライバルグループ間での戦いの幕が切って落とされようとしている。
WWiSE(WorldWide Spectrum Efficiency)と名のる同コンソーシアムは12日(米国時間)、次世代Wi-Fi標準の開発を検討しているIEEE 802.11nタスクグループに仕様案を提出する予定だと発表した。
802.11nを使った通信では、実測ベースのスループットが最大で100Mbpsまで上がることになる。これに対し、現行最速のWi-Fi標準である802.11gの最高速度は54Mbpsとされているが、平均的なスループットはその半分程度である。
802.11n仕様の最初のドラフトは、2005年半ばに決まる予定で、最終的な標準になるのは2006年末か2007年初頭となる見込みだ。
今回のWWiSEの発表は、802.11nタスクグループが設定した13日夜の提出締め切りが迫るなかで行われた。同グループは、9月半ばにドイツのベルリンで会合を開き、同提案について検討を加える予定である。
TGnSyncと呼ばれる別のグループでも、やはり802.11nに対して同様の提案を準備中で、8月13日の締め切りまでにその提案を提出する予定である。TGnSyncには、Atheros、Agere、Royal Philips Electronics、Intelの各社が参加している。
両グループは、特許のライセンス形態において異なるスタンスをとっている。両グループとも、手ごろな価格で非差別的なライセンス形態(Reasonable And Non-Discriminatory:RAND)を採ることを表明しているが、WWiSEでは、もし提案が受け入れられた場合に、ロイヤリティ無料(ゼロ)のRAND(RAND-Z)を使うことで、メンバー間の合意が得られていると語った。
WWiSEの参加企業各社は、互恵的なロイヤリティフリーの個別ライセンスオプションを採用することで合意しているが、これが実現すればメンバー各社は802.11nのライセンスに関して、開発者に利用料を請求しないことになる。WWiSEによれば、このライセンスによって開発者、メーカー、ユーザーの負担が軽減されるという。
WWiSEの提案では、世界各国の周波数事情を勘案し、20MHzの周波数帯を利用するよう提案している。この周波数帯が使えるようになれば、全世界における802.11nベースの製品リリースが簡単に素速く行えることになる。さらに、同提案は現行の各Wi-Fi標準と上位互換性実現を求めている。
WWiSE参加企業各社は、高速なデータスループットを実現するために、MIMO-OFDM(Multiple Input, Multiple Output-orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いる予定だ。Airgo Networksでは、MIMO技術をベースとしたチップの開発と出荷を行っており、また先ごろBelkinと同チップを用いた製品に関して提携すると発表した。この製品は10月に出荷が始まる予定だ。
WWiSEには、Airgo、Bermai、Broadcom、Conexant Systems、STMicroelectronics、Texas Instrumentsの各社が参加している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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