本来、話題として忘れてはならない重要な問題
Winny開発者47氏の逮捕というニュースに触発されて書いた「Winny事件という誤謬の原点(5月21日)」には、たくさんのトラックバックをいただいた。ここでは、議論をわかりやすくするために「技術・法律・事業」という3つの要素に一時的にでも分けて論じる必要性、そして飽和した市場における新しいパラダイムの確立に伴う課題にいかにして取り組むかということを議論した。
いただいたトラックバックでは、著作権利者、特に音楽や映像などの事業者のスタンス自体を批判した内容が比較的多い。DPR-Japan Postさんでは:
という、購入したビデオに関する経験を掲げて、そもそも「コンテンツの購入とはどんなことだったのか」という疑問を提示されている。また、Law Maniacさんでは:
として、同時期に話題になっていた逆輸入CDの規制について言及されている。Free47さんでも、「知的誠実さ」と題してこれらの課題についての考察を深めておられる。
議論のあり方について、Netcom Blogさんでは:
と、指摘し、表面的な解決だけではいたちごっこを加速するだけだとしている。McDMaster’s WeblogさんやNekoPunchさんも同様の意見をお持ちのようだ。しかし、同時に現実的にステイクホルダーが歩み寄る、あるいはそもそも議論をすること自体に対して悲観的な観測も述べられている。現実的にはそうなんだろうと思う一方、本来どうあるべきかというベンチマークを常に発することは無意味ではないと思っている。
いずれにしても、この話題は絶対に忘れ去られてはいけないと強く思っている。再び取り上げる機会を見つけていこう。
日本という市場の魅力とはなにか
その次の「サムスンと日本の微妙な関係(6月4日)」では、これまでとうって変わって、サムスン電子の日本へのスタンスについての考察を掲げた。その背景には、日本の市場が当然魅力的であるとか、反対に外部にとっては特殊性・排他性が高いことを「Japan Special」という思考停止によってのみ説明しようという大勢につっぱる意図があった。
TrackBackでは、韓国企業ニュースさんが以下のように推測されている:
すでに、ドコモがサムスン電子やNokiaから廉価なW-CDMA端末を調達するという、これまでとは異なる手法を採用する話を耳にする。もし、それが事実だとしたら韓国企業ニュースさんの推測が当たっていることになるが、ある意味で携帯電話は特殊な領域なのではないかとも考えられる。垂直統合モデルの変形になるとはいえ、流通は一切通信事業者が取り仕切り、インセンティブや在庫リスクなどをまったく考える必要がない点で、他の情報家電とは異なるためだ。
とはいえ、それがサムスン電子の全面的な日本市場参入につながるかどうかは別問題だろう。あるとしたら、部品など特定産業財マーケットが考えられ、消費者向けの商品ではないかもしれない。で、あれば、広告出稿は企業の調達担当者向けということになるわけだが。
いずれにしても、サムスン電子のようにしがらみもなく、海外進出の経験が豊かでスマートな戦略立案と実施能力をもつ企業にとって、日本という市場がどのような価値を持つかを改めて考えてみることは、ちょっとしたトレーニングとして最適ではないだろうか。
最近の4回分については、次回取り扱う予定だ。ご意見のある方はバックナンバーにぜひトラックバックをいただければと思う。
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