ブロードバンド接続やIP電話サービスを提供する事業者らは、従来の電話ネットワーク向けに用意された法律に従うべきたと、米連邦通信委員会(FCC)が米国時間5日の予備決定のなかでコメントした。
FCCでは投票結果5対0で、警察や諜報機関が、ケーブルモデム/無線/衛星/電力線など、あらゆる形態の高速インターネット接続通信を傍受できるように規制を強化すべきだとの採決を下した。
「IP通信への法適用は欠かせない」と、FCCのMichael Powell委員長は述べ、「(これらの法律の)要求条件は、VoIPや他のIPサービスの事業を手がけるプロバイダに適用されることになるだろうし、そうあるべきだ」と付け加えた。
米連邦捜査局(FBI)や麻薬取締局、司法省はブロードバンド・ネットワークを通信傍受する手段を確保するよう要求しており、今回の投票は、正式な依頼を受けてから5カ月経って行われた。もしFCCが何も行動を起こさなくても、警察当局は通信傍受を行えるが、時間のかかる難しい作業になってしまう。
「国家安全に勝る優先事項はない」と、FCCのKathleen Abernathy委員は会合の席で述べている。「われわれは全員、法執行に向けてできるだけのことをする考えだ」(Abernathy)
FCCの5人の委員は、1994年に制定された「法執行のための通信援助法(Communications Assistance for Law Enforcement Act:CALEA)」を、ブロードバンドや「管理された」VoIPサービスに適用することに同意している。
しかしながら、FCCは、インスタント・メッセージや「管理されていない」VoIPソフトウェアもCALEAの適用対象にすべきという、警察当局からの要求を認めなかった。この場合の管理されていないVoIPソフトウェアとは、Skypeの初期バージョンやPulver.comのFree World Dialupのような、一般の公衆電話網を経由しないPtoP型の音声通話アプリケーションのことである。
「(FCCでは)これら管理外にあるようなPtoP型のVoIPやインスタント・メッセージについて、CALEAの適用外にすべきであると暫定的に結論付けており、これらのサービスとCALEAの適用対象を同一視する必要はない」とPowellは述べている。
今回のFCCの決定により、Vonageや8x8、AT&Tをはじめとする大手のブロードバンド通信事業者はCALEAの適用対象になる。これら事業者の幹部らは、技術的に可能なことなら、いかなる法律的要求にも応じるつもりだと過去にコメントしている。
Free World Dialupの共同設立者Jeff Pulverは、今回の決定が、VoIPプロバイダらが今後、伝統的な電話サービスを縛るルールをもっと数多く遵守しなければならなくなる日が近づいていることを意味するとコメントしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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