米国最大級の病院の1つであるMayo Clinicが、IBMと提携し、病気のモデル化を進めることになった。同病院ではBlue Geneスーパーコンピュータを使って、各種の治療法を発見できると期待している。
Mayo ClinicとIBMは4日(米国時間)、病気の診断や治療方法の改善および個々の患者に合わせた治療法の開発を目的として、新しい技術や機器を共同で開発していくと発表した。MayoはIBMのBlue Geneスーパーコンピュータを利用して、病気の原因解明のヒントとなる遺伝子やたんぱく質の構造や、それらの相互作用を理解するための数学モデルを構築する。この研究開発が、さまざまな種類の癌など、特定の病気の原因となる遺伝子の理解に役立つかもしれない。
IBMは、たんぱく質が構成する複雑な3次元構造を調査する研究プロジェクトとして、Blue Geneの開発を始めた。だが、Blue Geneは電波天文学など数値計算の多い他の科学研究でも利用されている。また、IBMは新しいライフサイエンス市場で、Hewlett-Packard(HP)やSun Microsystemsなどのメーカーと競合している。
MayoとIBMが計画している、個々の患者に合わせた治療法に関するプロジェクトでは、データマイニングツールを使って、カスタマイズされた各患者の情報を開業医の必要に応じて提供する。これが実現すれば、医師は患者の病気、研究、臨床結果、同じ状態の他の患者に対する治療の効果といった情報にアクセスできるようになる、と両者は述べている。
「われわれは、各種の技術標準や遺伝子ベースの新解析技術のお陰で、今後10年の間に、過去100年間に得られた以上の成果を上げられる状況にある。また、IBMについては、専門技術とイノベーションを提供できる、非常にユニークな能力をもつパートナーだとわれわれは考えている」と、Mayoの最高経営責任者(CEO)Denis Corteseは声明で述べている。
IBMとMayoは、さまざまなフォーマットで保存されていた440万人分の患者に関する情報をデジタル化し、標準技術プラットフォームに基づくシステムに統一した。医師や研究者らは、研究目的でこれらの記録にアクセスできるが、患者のプライバシーの権利や政府の規制は守られる。IBMとMayoでは、オープンな技術プラットフォームを採用し、技術と人材に投資して患者データの統合方法の標準化を図り、統合データベースで解析可能なデータの種類を増やしていくと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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