[ニュース解説] コピー防止技術を破れば罰金や懲役を科せられる可能性があるが、RealNetworksによるiPodの「ハッキング」の場合には、法律がここまで厳格に適用される可能性は低い、と法律の専門家らは述べている。
Realの取り組みは、ハッカーの行為と同じく、Apple Computerが進めるiPodデジタル音楽プレイヤーとiTunes Music Storeの計画を土台から揺るがす可能性がある。Appleはこの2つを上手に利用して他社から大きく先行しているが、そのためにRealなどの各社は事実上どんなことをしてでもAppleに追い付きたいと考えているようだ。
RealNetworksは先週、Appleが「ハッカーのやり口や倫理観」を思い起こさせると語った行動に出て、Apple独自のデジタル著作権管理ソフトウェアと同様のものを自前で開発してしまった。Fairplayと呼ばれるAppleのソフトウェアは、消費者による無制限の楽曲複製を防止し、また他のコピー防止機能を持った音楽フォーマットの曲をiPodでは再生できないようにするものだ。だがRealが「Harmony」という新たなソフトウェアをリリースしたことで、今後は同社の音楽ダウンロードサービスから購入した曲もiPodで再生できるようになる。AppleではRealの行動について違法性があると主張している。
しかし法律の専門家らは、RealNetworksの製品と、DVDのコピープロテクト機能解除やiTunesの曲からのFairPlay保護技術除去に手を貸したコード破りのつくったものの間には、大きな違いがあると述べている。
少なくとも米国では、このような非合法プログラマは、デジタルコピープロテクトの「回避」を禁じるDMCA(デジタルミレニアム著作権法)によって罰せられる可能性がある。それに対し、RealNetworksは、権利侵害や無許可の複製ではなく、自分たちなりの方法で音楽を保護する目的でAppleの技術を「ハッキング」した、と法律の専門家は指摘する。互換性実現を目的としたこの種のリバースエンジニアリングは米国企業で日頃から行われており、競合者が著作権で保護されたコードを利用していない限り許容されている、と弁護士らは述べている。
イリノイ州シカゴにあるGordon & Glicksonの弁護士で知的財産権を専門にするKen Dortは、「DMCAはこのような保護を目的としたものではない。実際、RealNetworksと同じようなことをどこでもしている。最新の競合製品を買ってきて、バラバラに分解してみるのだ」と語った。
一部の弁護士は、Appleが従来の契約法や著作権法に照らした方が優位な主張ができるかもしれないと話している。iPodにはリバースエンジニアリングを禁じるライセンス契約があり、RealNetworksがこの契約に違反したと主張できれば、Appleは優位に立てるからだ。
マサチューセッツ州ボストンの弁護士で特許を専門にするBruce Sunsteinは、「このような契約に強制力があるかどうかという問題はある」と語った。
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