米下院は米国時間20日、ストックオプションにかかる費用の会計処理方法について、現在の会計基準をほぼそのまま維持するとする法案を圧倒的多数で可決した。これは、ウォールストリートにとっては残念な知らせだが、シリコンバレーには朗報である。
下院は、ストックオプションを経費として扱うとする米財務会計基準審議会(FASB:Financial Accounting Standards Board)の最近の決定を否定し、現状をほぼ維持する内容の法案を312対111で可決した。ストックオプションが経費として扱われるようになれば、利益の下方修正を余儀なくされかねない米国企業、とりわけ大手IT企業は、FASBの改正案に不安を募らせていた。
David Dreier下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)は、「ストックオプションを経費とする考えは全くばかげている」と述べ、さらに「(ストックオプションは)従業員の利益と企業利益を一致させ、従業員のやる気を引き出すためのものだ」と語った。
またPete Sessions下院議員(テキサス州選出、共和党)は、政府中枢部の会計の専門家らは、ストップオプションの経費処理を強制することにより、米国経済を害する可能性があると非難した。「(FASBの決定は)今後の広範な計画や、現在企業が生み出している生産性、技術革新、経済成長を破壊する可能性がある」(Sessions)
Stock Option Accounting Reform Act(ストックオプション会計改革法)と呼ばれる下院の法案では、企業の上位5名の幹部に与えられるストックオプションのみ費用計上することが義務付けられ、年商2500万ドル未満の企業は対象外となる。ただFASBは有力上院議員の幅広い支持を得ていることから、同法案が上院で可決されるか否かは不透明だ。
下院で同法案の採決が行なわれるまでの数日間、2つの企業連合が政局の主導権を握ろうとしのぎを削った。そのうちの一方は、Institutional Shareholder Services(ISS)やWarren Buffettなどの米株式市場の投資家、、4大会計事務所、さらに米証券取引委員会(SEC)や米連邦準備制度理事会(FRB)のAlan Greenspan議長といった連邦規制当局者からなるグループだ。彼らは、ストックオプションは従業員に支払われる他の報酬と同じく経費であり、同様に扱われるべきだと主張する。
もう一方は、AutodeskやGenentech、Cisco Systems、Intel、Qualcomm、Sun Microsystemsといった米国企業で構成されるグループだ。このグループは先月、カリフォルニア州パロアルトで集会まで開いた。またCoors BrewingやValero Energyといった非IT系企業も、現行の会計基準を維持するための戦いに加わった。現在の会計基準では、従業員に与えられるストックオプションの数は脚注に記載すればよいことになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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