米国でストックオプションの会計基準が変更へ

 米財務会計基準審議会(FASB:Financial Accounting Standards Board)が、ストックオプションの会計基準を変更するための調査に乗り出す。これにより今後、従業員のストックオプション報酬を経費として計上しなければならない可能性が出てきた。

 FASBは米国時間3月12日、ストックオプション会計基準を審議会の議題に追加した。また、FASBは欧州の国際会計基準理事会(IASB:International Accounting Standards Board)とも協力していくことを明らかにした。IASBはすでに、企業がストックオプションを経費として計上するよう求めた提案書を公開している。

 FASBの会長のRobert Herzによると、株価市場の暴落や企業会計スキャンダルの発覚で、多くの個人投資家や機関投資家、アナリストから「従業員のストックオプションなどの報酬を費用として計上するよう義務付けるべきだ」との声が相次いだという。

 ストックオプションは、主に技術系企業が従業員への報酬として提供している。現在の会計基準では、ストックオプションを経費として計上する方法と、年次報告書の脚注に掲載する方法のいずれかを企業が選択することになっている。しかし、経費として計上する企業はほとんどない。利益が減少する可能性があるからだ。

 米Enronや米WorldComなど巨大企業の会計スキャンダル発覚により、ストックオプションは賛否両論の的だ。特に国会議員、企業の経営陣、投資者の間では、現在も意見が分かれている。

 問題は、企業が従業員に対して保証するストックオプションの価値を、経費として計上するよう、米国会計基準が義務付けるべきかどうかという点だ。FASBは1990年半ばにも同基準の検討を行っていたが、その時はシリコンバレーの企業や政治家に圧力をかけられ、変更を断念している。

 「FASBは一連の公開ミーティングで問題を検討し、年末までにドラフト案を公開して一般の意見を求める予定だ。2004年には、会計原則(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)の一部として最終基準を公布したいと考えている」(FASBのスポークスマンのSheryl Thompson)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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