日本HP樋口社長、「2010年に1兆円企業となる」

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年07月20日 21時02分
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の代表取締役社長兼CEOの樋口泰行氏が同ポジションに就任して1年が経過した。これを機に同社では企業戦略説明会を開催し、樋口氏が「2010年に日本HPは1兆円企業になる」との中期目標を示した。

 樋口氏のいう「1兆円企業」とは、「日本社会に貢献できるIT企業としては妥当な規模」との考えに基づいている。同社の昨年度の日本における売上は3711億円で、1兆円までの道のりはまだ遠い。しかし樋口氏は、2004年度第2四半期の日本HPの売上が前年同期比で23%増加したことや、2004年度第1四半期の国内におけるUnixサーバのシェアが前年同期比46.2%増で1位、x86サーバのシェアが前年同期比35.2%増で2位(いずれもIDC調べ)であることなどから、中間地点の2006年度における目標を5000億円とし、2010年度に1兆円をめざすとしている。

 日本HPでは、顧客第一主義を徹底させるため、「これまでのように製品ごとの戦略ではなく、市場セグメントを軸とした戦略にシフトしていく」(樋口氏)としている。同社のいう市場セグメントとは、「エンタープライズ・公共部門」「中小・中堅企業」「コンシューマー」の3つ。このそれぞれのセグメントにおける戦略を樋口氏は説明した。

日本HP 代表取締役社長兼CEOの樋口泰行氏

 エンタープライズ・公共部門に対しては、合併や競争激化などによる変化に対し、各企業が柔軟に対応できるよう、「アダプティブエンタープライズ戦略」を今後も推進するという。昨年5月に発表した同戦略の下、日本HPでは全営業人員やコンサルタントの教育を行うとともに、専任コンサルタント300人を育成し、100人のエンジニアにITIL(IT Infrastructure Library)認定を取得させるなど、社内体制の強化を行ってきた。これまでの取り組みをアダプティブエンタープライズ第1章とする同社では、今後の戦略を第2章として位置づけ、次のような取り組みを図るとしている。

 まず、より迅速なソリューションの提供を実現するために、社長直結のタスクフォース6チームを結成し、200人を投入する。また、顧客とビジョンを共有する提案型営業を強化するためにレベルアップトレーニングを実施するとともに、ITグランドデザインを描くことのできるシニアアーキテクト(ITシステム設計者)を倍増させる。さらに、SOA(Service Oriented Architecture)やEA(Enterprise Architecture)などを提供できる体制の強化のため、100名の専任担当者を配属するほか、パートナーとの連携や補完体制を強化する。またHPでは、自らが合併による変化に対応できるようアダプティブエンタープライズ戦略を実践しているが、その経験を「人」「プロセス」「システム」の3つの観点から、顧客に対してもノウハウを提供できるような仕組みを作り上げていくとしている。

 中小・中堅企業に向けては、大企業とは違った同市場のニーズに対応するために「スマートオフィス」コンセプトを提唱するという。スマートオフィスとは、ビジネスとITを同期させることで、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を作るというもの。日本HPでは同市場に特化した専門組織を設立し、価格性能比に優れた製品の提供や市場ニーズに対応するITインフラの提案、ファイナンスなどのサポートも行うとしている。

 コンシューマー市場については日本が先行しており、プリンタのデザインなどで日本市場のニーズに基づいた開発を行っているとしている。同社はその他のコンシューマー製品についても本格参入すると表明しているが、大型ディスプレイやApple ComputerのiPodのOEMなど、具体的な製品の戦略については「現在検討中」としており、今後戦略が固まり次第発表するとしている。

 以上のセグメント別の戦略のほか、樋口氏は「グローバルな企業市民として、社会的責任を積極的に果たす」としている。社会貢献活動のひとつとして同社は特に「デジタルデバイドの解消(e-inclusion)に注力する」(樋口氏)としており、社内でのボランティア活動の推進や、経常利益の1%を社会貢献に投資するとしている。また同社では、個人情報管理対策として、情報漏えい対策のみならず、顧客情報を適切に活用できる仕組み作りのために個人情報保護対策室を設置している。

 樋口氏は、日本HPが合併を経て、世界規模の視点で標準化・オープン化されたIT基盤を推進できる企業になったと述べる。「HPは合併でより強くなり、日本企業の競争力強化に貢献できる存在となった。これからも顧客に技術的なロードマップを示しつつ、地に足の着いた提案を行っていきたい」と樋口氏。そのなかで、2010年に1兆円企業をめざすとし、「21世紀の日本社会に貢献できるIT企業となることを約束する」と述べた。

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