外国半導体メーカーに対する差別だという、米国企業からの批判が多かった課税措置について、段階的に撤廃していくことに中国が合意した。米中両国の関係改善に向けた最新の動きだ。
米中両国は、中国が半導体に対して課している付加価値税について、両国間の意見の相違を9カ月以内に解決することで合意したと米通商代表部(USTR)が米国時間8日に発表した。米国は付加価値税をめぐって世界貿易機構(WTO)に提訴していたが、今回の合意により、この問題は解決する。
今回の合意により、急成長を遂げる中国市場において今後、製品の輸入が増加していくものと思われる。中国はこれまで、半導体に対して17%の付加価値税を課す一方で、国内メーカー各社には払い戻しを行い、国内メーカーを有利に扱ってきた。
Semiconductor Industry Associationの公共政策担当バイスプレジデントDaryl Hatanoは3月に、「これは関税と同じ働きをするものだ」と語っており、「(今回の)結果にわれわれは満足している」としている。
米国の企業幹部や業界団体によると、旧制度には、外国メーカーに対して、払い戻し制度を活用するために中国国内に製造施設を建設するよう促す効果もあったという。
ヨーロッパ企業も付加価値税の影響を受けていたが、米国の方が積極的に課税撤廃に取り組んできた。
結局、同税の撤廃はおそらく世界中からの半導体輸入増加につながることになるだろう。米国メーカーは2003年、中国に対し20億ドル相当のICを販売した。USTRによると、中国は昨年、190億ドル相当の半導体を消費したという。
また、中国はこれにより、安定した取引国としての信頼を勝ち取ることにつながるだろう。2001年のWTO加盟以来、国内企業だけを有利に扱ってきた市場を開放できるのかなど、加盟国に課される義務を中国が果たせるのか、多くの国が疑問視していた。
現在までのところ、論争はあったものの、同国は義務の多くを遵守しているように思われる。同国は今年4月、国内チップメーカーを有利に扱うものだと西側企業が訴えていた、無線技術に関する規制を撤廃することに合意した。USTRによると、中国はさらに、3G(第3世代)携帯電話標準に関して中立の立場を取ることにも合意しているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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