また新たな公共セクターがオープンソースソフトウェア支持を表明した。インドのA.P.J. Abdul Kalam大統領は自国の軍隊に対し、サイバーセキュリティの脅威を避けるため、オープンソースなど、非プロプライエタリな技術を用いるよう求める発言をした。
Kalam大統領は先週ニューデリーで開かれたインド海軍のWeapons and Electronic System Engineering Establishmentの会合で、「ソフトウェアのメンテナンスやアップグレードは国防上の重要な課題だ」と述べた。
大統領は特定のプロプライエタリソフトウェア製品の名前を挙げることはせずに、国防担当エンジニアらに対し、オープンなプラットフォーム上でシステムを開発・実装するよう求めた。「設備に必要なソフトウェアは民間企業が開発することになるかもしれない。しかし、ソフトウェアが商用か否かに関わらず、システム稼働中はサポートが確実に提供され、技術的ノウハウやアーキテクチャに関する情報が完全に入手できるようにする必要がある」
インドの国防研究開発組織の元トップで、誘導ミサイルプログラムの設計者だったKalam大統領は、オープンソースソフトウェアを以前から支持していた。インドの憲法では、大統領は軍隊--陸軍、海軍、空軍--の最高司令官でもある。
オープンソースのオペレーティングシステム(OS)であるLinuxは、一部の国々では既に政府リーダーや地方自治体からの支持を得ている。ノルウェーの都市ベルゲンは最近、コストや信頼性を理由にOSをWindowsとUnixからLinuxへの切り替えに踏み切った。またドイツのミュンヘンは1年間の試用期間の末、Linuxを今後も使い続けることを決定している。
インドは兵器システムの開発に必要なソフトウェアを自立して開発すべきだというのが、Kalam大統領のスピーチの趣旨だった。過去に、米国からのハードウェア・ソフトウェアの輸入を規制したことから、インド国内でのシステム開発が発展した。またインドがKalam大統領指揮のもと1998年に核実験を行なった後には、各国がインドへの技術輸出を禁止した。
もともとは科学者だったKalam大統領は、最近自らがVoIPを使って米ピッツバーグのカーネギーメロン大学の科学者と通信したことに触れ、新技術が国防訓練に役立つことも指摘している。Kalam大統領は先月バンガロールで開催されたインドと米国の宇宙開発会議でも、両国の宇宙研究の専門家らと同様のVoIPセッションを行っていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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