Microsoftは、同社にとって最悪の仇ともいえる、SuSE Linuxの元営業マンを採用した。この人物は、それまでMicrosoft製品を利用していたドイツのミュンヘン市を説得し、Linuxとオープンソースソフトウェアへと乗り換えさせた張本人だ。
Karl Aignerは、以前SuSEでミュンヘン市を受け持っていた営業担当者で、現在はMicrosoftでドイツの中規模企業向けの同社データセンター製品販売を監督している。同氏は今月1日からMicrosoftで働き始めたと、同社が20日(米国時間)に発表した。
「Microsoftは欧州の公共部門を、オープンソースとの戦いの最前線と見ているようだ」と、RedMonkのアナリストJames Governorは述べている。Aignerを採用したことで、同社は敵の手法への知見を得ることになる。Microsoftは「学習する組織だが、その学習方法のひとつは異なる考え方を持ち込むことだ」と同氏は付け加えた。
ミュンヘン市は昨年、1万4000台のコンピュータにLinuxを導入する決定を下し、Microsoftが難攻不落ではないことを同社に教えた。デスクトップ機で利用するOSとしては、Linuxがまだ比較的未成熟であること、すでにMicrosoft製品が使われていたこと、さらにMicrosoft最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmerが土壇場になって自ら同市を訪れ値引きを提案したことなど、さまざまな材料があったにもかかわらず、それでもMicrosoftは負けてしまった。ミュンヘン市での敗北は、Microsoftにとって今後の運命を決するほどの痛手ではなかったかもしれないが、それでも十分に深刻な警告となった。
Novellの広報担当者Bruce Lowryによると、Aignerは、2003年末にSuSEを退社したという。なお、NovellはSuSEを今年1月に買収している。
AignerはMicrosoftにとって貴重な人材になるとGovernorは予測している。「この人物が欧州での公共部門への営業に関する機微を熟知していることは明らかで、またミュンヘン市との契約履行に際してオープンソース陣営が直面した非常に大きな困難を理解している」とGovernorは述べ、「彼はMicrosoftにとって素晴らしい導き手となるだろう」と付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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