ハリウッドの大立者、「白鳥の歌」を唄う - (page 2)

John Borland(CNET News.com)2004年07月08日 10時00分

--そうです。

 その見方には賛同できません。映画にはストーリーがなければならない。映画とは、ドラマチックな物語そのものです。ストーリーをふくらませるためにテクノロジーを使うことはありますが、「シュレック」やPixarの「トイストーリー」のような作品が素晴らしいのは、ストーリーが素晴らしいからです。

 アニメーション、デジタル技術、あるいは一般的な35ミリフィルムを使おうと、重要なのはストーリーです。ストーリーを、ドラマチックな物語としてどう組み立てるかです。テクノロジーはストーリーではない。テクノロジーはストーリーをより良くするものにすぎません。

--テクノロジーの利用という意味では、映画会社もハイテク化してきました。著作権侵害や違法コピーの問題を別にすると、テクノロジーの世界と、あなたがおっしゃるストーリーの世界はどう近づいていくのでしょうか。いずれ両者は1つの産業になるのでしょうか。

 映画とは、ストーリーを視覚的に語ることです。それがこの産業の本質です。利用できるテクノロジーはすべて利用するし、ストーリーを語るために使えるものはすべて使う。しかし、ストーリーはストーリーです。テクノロジーとストーリーに分けることはできない。ドラマチックな物語で観客の心をつかむためには、ストーリーをいかに語るかが重要です。それは間違いありません。

 コンピュータグラフィックスなど、デジタル技術を駆使して制作された大作映画はたくさんありますが、すべてが興行的に成功するわけではない。それはストーリーが不在だからです。映画が伝えようとしたことを、観客が信じなかったからです。そういう意味で、私は今後も映画は映画のまま--つまり、ストーリーを視覚的に伝え、そのために使えるテクノロジーがあれば使うという形は変わらないと思います。

--あなたの後任者にとって、最大の課題は何でしょうか。

 この業界の貴重な創作物をいかに保護するかです。自分の所有物さえ保護できないなら、何も所有していないに等しいのですから。ほかにも問題はあります。映画はグローバル産業ですから、問題は世界中に存在する。違法コピーの問題だけではありません。アクセスの問題や、あらゆる種類の税金や差別の問題にも対処しなければならない。映画は世界規模のビジネスなのです。しかし、まずは米国の映画が自由に、規制を受けることなく、保護された形で、世界中に配信されるようにすることが重要です。それが勘所です。

--映画制作の歴史をふりかえると、きわめて画期的な転換期が2度ありました。1つは無声映画からトーキー映画への転換、そしてもう1つは白黒からカラーへの転換です。影響力では劣るかもしれませんが、コンピュータ技術の登場もある意味では革新的だったといえるでしょう。今後、テクノロジーが映画の歴史を大きく変えることはあると思いますか。

 テクノロジーは今後も休むことなく映画を進化させていくでしょう。次の大きな変化はデジタル映画です。デジタル映画はあと2年ほどで劇場にお目見えする予定ですが、これは大きな進化です。ハイビジョン映画も登場します。こうした新しいテクノロジーによって、映画を見るという行為はこれまでよりはるかに楽しく、啓示的なものになるでしょう。しかし、映画の本質が変わることはありません。観客をとりこにするような、楽しくて魅力的なストーリーを語ること--それが重要です。

--何を違法コピーの道具とみるかについても、大きな変化がありました。おそらく、その最初のものはビデオカセットレコーダー(VCR)でしょう。あなたの「ボストンの絞殺魔」発言はいたるところで引用されています(Valentiは1982年の連邦議会聴聞会で、アメリカ人にとってVCRは、「独居女性にとってのボストンの絞殺魔のようなもの」と証言した)。

 忘れないでいただきたいのは、これは私の発言の一部にすぎないということです。私はVCRが大規模な違法コピーを引き起こすだろうといいました。そして実際、その通りになった。現在、業界は違法コピーによって年間35億ドルの損失をこうむっています。しかし、VCRが映画産業を発展させたことも事実です。私がVCRそのものに反対したことはありません。実際、われわれの関連企業の1社は、日本のVCRメーカーと提携していましたからね。私がVCRに反対するはずはありません。

 私に課せられた任務は、VCRが著作権を侵害したという判断を裁判所から引き出すことでした。しかし、私が本当にしたかったのは、現在欧州で行われていること、つまりすべての空ビデオテープに少額の著作権使用料を課すことです。そうすれば、消費者がビデオテープを購入するたびに、映画の制作者や所有者は少額の見返りを得ることができる。彼らの作品の著作権を侵害することに対して、限定的な形で、代償を払うことが出来るのです。私は大規模な著作権侵害が起こると予測しましたが、この予測は見事にあたりました。現在、VCRやディスクを利用した違法コピーは年間35億ドル以上の損失を映画業界にもたらしています。

--インターネットやPtoP、DVDのコピーは、適切な保護措置さえ導入されれば、VCRのように利益を生む存在になるのでしょうか。

 インターネットは人類の手と頭脳が生み出した、最も優れた配信システムです。これは素晴らしい、本当に素晴らしい成功物語となるでしょう。著作権を完璧に保護した形で映画を配信することができれば、何万本もの映画が家庭に配信されるようになり、人々は見たいときに、見たい映画を、公正で妥当と考える価格で楽しむことができるようになります。私はインターネットを高く評価しています。著作権を保護する仕組みさえ整えば、われわれはこの素晴らしい世界に迅速に移行できるでしょう。

 インターネットで映画を見る方法は既にいくつか存在します。MovielinkやCinemaNowがそうです。そしてこれからも、インターネットで映画を楽しむ方法は次々と出てくるでしょう。われわれはインターネットを利用できる日を楽しみにしています。本当に、心から。

--MPAAを辞めた後のご予定は。

進行中のものがいろいろありますよ。まだ発表はしていませんが、さまざまなことに関わっていくつもりです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]