英マイクロソフト幹部:「Linuxを交渉のダシに使う企業が増加」

Graeme Wearden(ZDNet UK)2004年06月14日 15時09分

 Microsoftに対して、Linuxをダシに使って有利に交渉を進めようとする企業が増えてきていると、同社英国法人の幹部が認めた。

 Microsoft最高経営責任者(CEO)のSteve Balmerが、同社従業員に宛てた手紙の中で、Linuxが脅威として浮上してきていると述べてから1年が経つが、同社は現在でもデスクトップでは同オープンソースソフトが深刻な競合相手とはなっていないと頑なに言い続けている。しかし、Linuxのおかげで、Microsoftが値下げを迫られているという可能性はある。

 「Linuxが前よりも脅威となってきていることは確かだ」と、Microsoft英国法人のマーケティングディレクターNick Barleyは語った。同氏のこの発言は、同社から有利な取引条件を引き出そうと、MicrosoftのOSやアプリケーション製品の代わりに、Linuxへの移行を計画していると告げる企業が増えているかとの質問に対する答えとして出てきたものだが、ただしこういった戦術がどれほど奏功しているかについては、同氏は明らかにしなかった。

 「われわれが顧客に適切な付加価値を提供し、顧客側でもその特別な価値をきちんと理解していれば、こうしたやり方が成功するはずがない」と、Barleyはロンドンで開催された同社イベントで述べた。この「20:20セミナーシリーズ: Microsoft WindowsとLinux」というイベントは、「テクノロジーについてのオープンで正直なディスカッション」と銘打たれたもので、そのなかではMicrosoft幹部やサードパーティの講演が行われた。

 Meta Groupの上級プログラムディレクターPhilip Dawsonによると、LinuxはMicrosoftだけでなくUnixベンダーに対してもに同じ程度の脅威を与えているという。Dawsonは、納入を希望する業者との交渉で、本当ではなくてもライバル製品の利用を真剣に検討していると示すのは、ビジネス上理にかなったことだと指摘した。

 「LinuxがMicrosoftに値下げさせるためのツールになっているのは本当だ」(Dawson)

 Microsoftは現地時間10日に開催したこのイベントを利用して、Linuxにまつわる「神話」を取り除こうと試みた。同社の議論の中心は、オープンソースソフトウェアでは、企業がITスタッフの再教育にコストを費やす必要があることから、長期的に見ると安くないというものだった。IT部門スタッフはWindowsソフトウェアの経験はあっても、オープンソース分野の経験はない可能性があるからだ。

 「本日来場した250人から300人の企業担当者に対し、Linuxは無償のオプションと思うかと訊ねたところ、手を挙げた者はいなかった」とMicrosoftのプラットフォーム戦略を率いるNicholas McGrathは述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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