--スポンサードサーチの成果が得やすい業種などがあれば教えてもらえますか。
代表的なのは金融、旅行です。これはOvertureワールドワイドにも日本にも当てはまります。
--企業の規模は関係ありますか。クリック課金型のキーワード広告はSMB(中小企業)にとって効率的なマーケティングツールだと言われていますが。
はい。SMBは我々の顧客の中で最も成長している分野です。
しかし、状況は地域によって異なります。日本は広告代理店の力が非常に強いので、少し特殊かもしれません。他の地域では我々は直接クライアント企業やSEM(サーチエンジンマーケティング)、SEO(サーチエンジンオプティマイゼーション)の会社と取引をしています。日本では、我々は伝統的な大手広告代理店や新興のインターネット広告の会社を経由して取引をしており、少しやり方が違います。
しかし、SMBにとってクリック課金型のキーワード広告は大きなチャンスだと言って間違いないでしょう。伝統的にSMBは広告媒体の利用にあたって不利な立場に立たされてきました。
例えば、あなたが京都に1店舗だけのホテルのオーナーだったとしましょう。今までだったらあなたには京都ローカルの新聞や雑誌しか広告媒体としての選択肢はなかったはずです。世界的な雑誌に広告を出すなんて考えもしなかったでしょう。キーワード広告なら十分効果に見合う価格で世界中の「京都のホテル」に興味のある人にリーチすることが可能です。
これは全く新しいマーケティングの世界です。単にインターネットの特徴を生かしているというだけではなく、非常に的確にターゲティングされた相手とのインタラクションが可能になるということです。SMBにとっては良いことでしょう。今後はSMB向けにオンラインマーケティングのアドバイスや効果的な広告の出し方を支援するツールなどが重要になってくると思います。
--クリック課金型のキーワード広告の市場規模は今後どうなると考えていますか。あなたは昨年日本で記者会見した際に、30〜40億ドルと言われる現在の市場規模が2008年には150〜200億ドルになるのではないかと言いました。今も考えは変わりませんか。
今年はかなり早い速度で市場が成長しています。もし私が間違っているとすれば、それはちょっとコンサバティブに予測し過ぎたということでしょう。成長のスピードはおそらく線形的なものではなく幾何級数的なものになるでしょう。オンラインマーケティングに使われる金額はいまだに世界全体の前マーケティング予算の2%程度しかなく、更にその25〜30%しかコマーシャルサーチに使われていないのです。効果を考えれば全予算の中に占めるオンラインマーケティングの比率はもっと高くなるはずで、仮にこれが2%から4%になっただけでも検索広告の市場規模は倍近くに跳ね上がります。2008年にどうなっているかなんて全く分かりません。オンライン広告の概念自体どんどん変わっていますからね。
--確かにオンライン広告はどんどん変わっていますね。業界の中には従来型のバナー広告の市場をキーワード広告が破壊しているという見方もあるようですが、どう思いますか。
その通りだと思います。今まさにそれが起きようとしています。バナーの代わりにキーワード広告を導入すればクリックスルーレートは上昇し広告をクリックするユーザーにとってのメリットも向上します。さらに新しい変化も起きています。今まではコマーシャルサーチというと、キーワード広告をクリックしてDVDプレイヤーを買いに行ったり、ホテルを予約したりといったユーザー行動をイメージすることが多かったかもしれませんが、最近はブランドネームのためにコマーシャルサーチを使うケースも増えています。
--ブランドネームですか?
はい。ブランドネームです。従来のバナー広告の効果はだんだん薄れてきています。バナー広告に見飽きたユーザーは無意識にバナー広告を見ないようになってきていると私は思います。しかし、コマーシャルサーチの結果の中に「Panasonic」や「Matsushita」といった名前があれば、ユーザーはそれをちゃんと目にしますし、場合によってはそれをクリックしてパナソニックや松下電器産業のサイトを見に行くかもしれません。ユーザーは単にその企業のサイトを見に行くだけで、そこでは何も買えないかもしれません。しかし、それでもいいのです。重要なのはそこでユーザーがその企業の製品に関するより多くの情報を入手し、販売店を検索できるということです。こうすることで企業はユーザーに、より自分たちのブランドを印象づけた上に、実際の店舗で製品を購入してもらえます。
--ではバナー広告はなくなるとお考えですか。
いえ。バナーにはバナーの良さがあるのでなくなりはしないでしょう。テレビが出てきた頃、ラジオはなくなると言われましたがそんなことはおきませんでした。それぞれ適材適所ということだと思います。
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