「守り」から「攻め」の体制へ--サンのソフトウェア・ハードウェア戦略

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年06月08日 20時42分

 「これまでのサンは“守り”の体制だった。だが守ってばかりでは試合に勝つことはできない。これからは積極的な“攻め”の体制で試合を進める」。こう語るのは、サン・マイクロシステムズ代表取締役社長のダン・ミラー氏。同社が開催したNetwork Computing 2004にて冒頭の挨拶に立ったミラー氏は、同社が今年に入ってMicrosoftと和解した件や、先週発表した富士通との提携などは、同社が攻めの体制を整え活動期に入った証だとした。

サン・マイクロシステムズ代表取締役社長のダン・ミラー氏

 ミラー氏は、サンがハードウェアとソフトウェアの両方を提供しつつも、「われわれはソフトウェアベンダー、ハードウェアベンダーのどちらでもない。システムベンダーなのだ」という。「ハードウェアだけを購入する顧客はもはや存在しない。ソフトウェアや、そこから恩恵を受けることのできるビジネスモデルを購入するのだ。サンは、パートナーとともにビジネスソリューションを提供していく。これはサンにとって利益につながるのみならず、パートナーそして顧客にとっての利益にもつながるものなのだ」(ミラー氏)

 自らをシステムベンダーと名乗り、年間20億ドルをR&Dに費やすサンは、どのような攻め方をするのだろうか。まずソフトウェア面における戦略の説明に立ったのは、Sun Microsystemsソフトウェアエンジニアリング担当バイスプレジデントのスティーブ・ペリィッティエ氏。同氏によるとサンは、発展途上国においてネットワークの普及を促進させるために、対象国の政府機関にJava Enterprise Systemを1市民あたり33セントで提供すると発表したことに触れた。

 またペリィッティエ氏は、同社がRFID開発センターをオープンしたこと、さらにはRFID市場に向けてJava System RFID Softwareを発表したことなども述べた(現時点では日本での発売は未定)。

 ペリィッティエ氏は、携帯電話の普及で着信メロディの市場が20億ドル市場となり、モバイルゲーム市場が30億ドルに、またモバイルデータ市場が800億ドルにまで成長したと述べ、「モバイルデバイスの普及で、新しいビジネスモデルが生まれるなど劇的な変化が起こった。だがこれはほんのはじまりに過ぎない。RFIDが普及すればさらにネットワークにつながるデバイスは増加し、1兆個のモノがネットワークにつながる時代が来るだろう」と述べた。

 ハードウェア戦略についての説明にあたったのは、Sun Microsystemsプロセッサエンジニアリング担当バイスプレジデントのマーク・トレンブレイ氏。同社は先週、富士通と次期SPARC/Solarisサーバの開発で協業すると発表したばかりだが、トレンブレイ氏は「富士通とはこれまでにも20年以上の関係がある。今回の提携強化で、富士通のPRIMEPOWERとサンのSun Fireが統合され、開発も共同で行われることになる」と述べ、この提携強化が両社にとって、さらには顧客にとっても利益をもたらすものだとした。

 トレンブレイ氏はまた、サンが開発中のプロセッサについても述べた。同社ではプロセッサのスループットを高めるためのマルチスレッディング技術を推進しているが、次世代プロセッサのNiagaraでは現行のUltraSPARC IIIi(1GHz)の15倍のスループットが、また同じく開発中のプロセッサRockでは現行のUltraSPARC III(1.2GHz)の30倍のスループットが実現できるという。両チップの位置づけについては、「Niagaraはネットワーク向け、Rockはデータ向け」とトレンブレイ氏は説明する。

 トレンブレイ氏は、「サンは今後もSPARC/Solarisの開発に重点的に投資していく。スループットコンピューティングにより、ネットワークコンピューティングの質とコストは改善される」と述べた。

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