インテルは6月2日、米Intelエンタープライズ・プラットフォーム事業本部エンタープライズ・マルチプロセッサ・プラットフォーム・マーケティング・ディレクタのジェイソン・ワクスマン氏の来日にあわせて都内で記者会見を開催し、同社のサーバ用プロセッサItaniumのロードマップを紹介した。
まず2004年の計画としては、Itanium 2チップの強化バージョンをリリースする。周波数は1.7GHzで、現行の1.5倍となる9Mバイトのキャッシュを搭載する。キャッシュの容量を大きくしてチップのクロック数を引き上げることで、処理性能が向上する見込みだ。
米Intelのジェイソン・ワクスマン氏 |
2005年には、デュアルコア、マルチスレッディングの「Montecito」をリリースする方針。これには現行の3倍となる24Mバイトのキャッシュが搭載される。また、Montecitoの廉価版となる「Millington」や、Millingtonの低消費電力版の投入も予定されているという。
その後2007年には、マルチコアプロセッサとなるTukwilaがリリースされる。ワクスマン氏によれば、Tukwilaの開発にはAlphaチームが携わっているという。同年にはTukwilaの低価格版「Dimona」や、Dimonaの低消費電力版も登場する予定だ。
ワクスマン氏はこれらのロードマップを紹介し、「2007年にはItaniumアーキテクチャのパフォーマンスが、Xeonベースプラットフォームの2倍となる」と予測する。ItaniumはEPICアーキテクチャ(あらかじめ並列実行できる命令を明示的に記述し、実行時にその命令を同時に実行するもの)によってパフォーマンスが向上しており、さらにマルチコア化やマルチスレッド化によって処理能力が増加する、というのがその理由だ。Xeon自体もムーアの法則にしたがってパフォーマンスが向上するが、「Itaniumはムーアの法則を上回る」(ワクスマン氏)と自信を見せた。
そのうえでワクスマン氏が今後取り組んでいくべき課題として挙げたのが、パワーマネジメントの問題だ。Montecitoではプロセッサの使用率に応じてプロセッサのパフォーマンスを自動的に切り替えるDBS (Demand-Based Switching)や、電力レベルをユーザの設定値以下に抑え、ポリシーベースで管理するACPC (Automatic Control of Power Consumption)という技術を導入するという。
インテルではItaniumによって、SunのSPARCやIBMのPowerなどのRISCプロセッサからの移行を訴えていく方針だ。ワクスマン氏によると、世界サーバ市場の出荷額においてIAサーバはRISCサーバを抜き、2003年第4四半期にはIAサーバが51%を占めるようになったという。ワークステーションなどのボリュームゾーンでは引き続きXeonを推進するとともに、データベースなどのハイエンド分野ではItaniumに注力するとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス