対談:日本における検索の未来 - データセクション 橋本大也 vs ヤフー 志立正嗣

構成/文:野田幾子、写真:吉成行夫
編集:山岸広太郎(CNET Japan編集部)
2004年05月31日 10時00分

検索エンジンの開発競争では米国が注目されがちだが日本の取り組みはどうか。日本語類似検索エンジン「といえばサーバ」などユニークで先進的な取り組みで知られるデータセクション 代表取締役 CEOの橋本大也氏と日本最大のポータルサイトYahoo! JAPANの検索を率いるヤフー リスティング事業部長の志立正嗣氏。対極的なアプローチから検索に取り組んできた2人に日本の検索の未来を語ってもらった。
 

橋本大也 Daiya Hashimoto
データセクション 代表取締役 CEO
早稲田大学在籍中に「アクセス向上委員会」を立ち上げITビジネス全般の技術評価及びマーケティング戦略のコンサルティングを開始。2000年にデータセクションを設立。
志立正嗣 Masatsugu Shidachi
ヤフー リスティング事業部長
印刷会社、広告代理店を経て1998年11月ヤフー入社。2002年10月リスティング事業部長就任。日本大学芸術学部放送学科卒。36才

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検索エンジンはまだまだ過渡期

橋本: 今回の特集の第1回目の記事では日本のサーチエンジン業界についてが取り上げられていましたが、Yahoo! JAPANの変化もめまぐるしいものがありますよね。

志立: 「検索」とひと言で言っても、やっている内容は変わりましたね。昔はキーワード検索の枠があったわけでもなく、ただサイトが新着順に並んでいただけ。サイトの数が増えて使いにくいと感じ始めたころにYahooが登場し、ディレクトリ型に登録されているサイトをジャンル別にしようという動きがでてきた。ウェブサイトを本、ウェブページを本の中のページに例えると、この段階の検索はどこにどんな本があるかを探すために使われていました。

 それが検索エンジンの発達により、たくさん並んでいる本の中から、入力したキーワードに一番近いページを引き出すサービスになりつつある。Yahooでもディレクトリ登録サイトの検索結果を出すのとページ検索の方へ飛んでいく検索結果の割合は、後者の方が大きくなってきています。海外と比較すればまだ日本ではディレクトリ検索が使われていますが、探したい「本=サイト」ではなく「ページ」を検索によって直接見に行く人が増えているのは間違いないでしょう。

 検索における次のステップが、入力したキーワードに対するインフォメーションそのものをドカンと表示すること。現在のように、関連性のあるページのリストを表示する方法は、実は欲しい情報を得るひとつの手段にしか過ぎません。キーワード、つまり問いに対する答えに該当する情報そのものが表示されるのが、究極の検索だと思うのです。

橋本: URLの出ない検索ですね。検索と言うよりは、問題解決エンジンというか、提案エンジンというか・・・。いまはまだキーワードが入っているサイトがどこにあるかを示しているだけで、最終的な目的や、やりたいことはまた違うはずですからね。

志立: ですから、いまの検索形態は決して完成系ではなく、極めて過渡期にあるものだという認識でいるんですよ。たぶん、ユーザーがキーワード検索を行う場合、一番関連性の高いページが見つかることで、ほぼ欲しい情報に近いものが得られるという認識でいるだろうと思うんです。しかし、実はよりニーズにフィットした結果があるかもしれない。

 それは、データベースの中に入っている情報です。例えば、Yahooの中だけでもオークション、グルメ、ショッピング、地図など、約70項目のサービスがあり、そのひとつひとつから検索結果が引き出せる。ひとつのサービスにも複数の検索ボックス、グルメだったら料理のQ&Aやレシピ、レストラン情報などが引き出せますよね。

 本当に欲しいと思っている情報は、ページの奥にあるデータベースに眠っている。もし自分がユーザーなら、データベースからも引き出した結果が一番最初に出せればいいなと思います。それができれば「情報そのものが結果として表れる」という形態に一歩近づけるでしょう。Yahooは幸い、オークションやグルメをはじめとするそれぞれの分野で充実したデータベースを持っているので、それを検索サービスと結び付けることが、いいものに一歩近づくことになるんじゃないかなと思うんです。

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