「1年で損益分岐点に達する」---エキサイトの音楽配信のねらい - (page 2)

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年05月25日 10時00分

---20日にはOCNも音楽配信サービスへの参入を発表しました。

 OCNは会員向けのサービスです。ISP会員を増やすための課金コンテンツですから、エキサイトとは戦略が異なります。我々の場合、BB.excite会員だけに限ったサービスではありません。

---参加レーベル数や配信楽曲数はOCNのほうが多いようです。

 曲数の差はあまり心配していません。きちんとしたインフラがあれば自然と集まってくると思いますから、曲数の差は短期的なものでしょう。

 ただ、OCNのユーザー層と音楽配信に親和性があるかといえば、少々疑問です。レコードショップを渋谷に出すのと新橋に出すのとでは違います。エキサイトミュージックに来ている層は、音楽を最もよく買う10代から20代前半が中心です。この差が大きいと思いますね。

---エキサイトは渋谷だと(笑)。しかし、10代ではクレジットカードを持たない人が多い。この点が課題では。

 確かに、現状はクレジットカードにしか対応していません。近いうちにWebMoneyやBitCashなどに対応する予定です。

---今後さらに多くの企業が音楽配信サービスに参入すると見られます。どのようなサービス展開で差別化を図る考えですか。

 店舗として、プラスアルファのサービスをどう提供していくかでしょう。ただ、先行メリットというのは非常に大きいと思います。

---Yahoo!ミュージックでは4月から歌詞閲覧サービスを開始しています。同様のサービスは考えていますか。

 あまり他社と同じことをしても・・・。我々は今回、クリエイティブメディアの端末との連携を図りましたが、他のデジタルポータブルプレイヤーとの連携も進めていきたいと思います。それから、現在提供している投票サービスやアーティストのインタビューなどとうまくミックスしたサービスを考えています。

 動画に関しても、ライブ映像を中心に揃えていく方針です。BB.exciteではすでにライブの生中継もやっています。ただし、中心はやはり音楽配信です。

 従来のCDよりも安く、しかも簡単にPCに取り込めて、デジタルプレイヤーで聞けるというメリットは間違いなくユーザーに受け入れられると思います。現在1000円程度で販売されているCDが270円で買えるのですから、今までCDを買わなかった人も買うようになる。確実に市場は広がります。

---米国の音楽配信の状況を見ると、楽曲をCDにコピーしたり、パソコン間で交換できたりするようになってから、市場が急拡大しました。今回のサービスではCDに対応していないようですが、市場拡大の足かせにはなりませんか。

 私も最初、CDにコピーできることが(配信サービスの)鍵になると考えていました。しかし今は逆に、どんな必要性があるのだろうかと考えています。

 例えば電車の中で聞いていても、デジタルプレイヤーならCDと違って音飛びがしない。CDを入れ替える必要もない。スピーカーをつなげば高音質で音楽が楽しめますから、CDプレイヤーも必要もない。そういうことを考えると、音楽の聴き方はこれからずいぶん変わるのではないかと思います。

---現在はCDプレイヤーからデジタルプレイヤーへの移行期にあるから、CDにコピーできないことに不便を感じるだけだと。

 CDがなくなることはないと思います。ただ、デジタルプレイヤーのシェアは増えていくでしょう。この2、3年で加速度的に増えていくのではないでしょうか。

---Music Storeでのダウンロード数はどの程度と見ていますか。

 ブレイクスルーが起これば大きく伸びると思うのですが、それがいつ来るか。1年くらいはかかると思うので、1年後に月間30万ダウンロードといったところでしょうか。

---国内の音楽配信市場が成長してくるのは1年後ということでしょうか。

 複数の企業が参入し、年末から来年にかけてサービスが揃ってくるでしょう。その中で各社が特色を出していけば、もう一段階市場が広がってくると思います。音楽配信サービスのユーザーメリットが大きいことに間違いはないので、確実に受け入れられていくと思います。ただ、市場がどの程度の大きさになるかというのはまだ見えていません。

---携帯電話の着メロのように、月額制のパッケージ販売などは考えていますか。

 パッケージ販売はやりたいと思っています。今はまだ難しいと思いますが、同じレーベル内の楽曲であれば可能性はあると思います。ただし、具体的に決まっているものはありません。

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