Microsoft会長のBill Gatesは20日(米国時間)、企業の経営陣に向けたスピーチのなかで、開発ツールやWebサービスなどの技術の進歩をアピールした。
Gatesは、MicrosoftのCEO Summitのオープニングスピーチで、生産性向上とビジネスコストの低下をテーマとする最近の製品の紹介や、今後のリリースのプレビューをいくつか行った。CEO Summitは国際的ビジネスリーダー100人以上が一堂に集う2日間のイベント。
「これらの事がらは、今後1、2年で実現するものではない」とGatesは述べ、同社が2010年まで研究開発に重点的に投資し続けることを明らかにした。「100億ドル投資すれば、こうした事がらが実現できるはずだと思われる--少なくとも、私はわが社のプログラマたちにそう伝えている」
Gatesは技術進歩の1つとして、ビジネスアプリケーション開発の簡素化を約束した。同氏は、現在のソフトウェア開発の限界となっている「構造化と非構造化の境界」を回避し、複雑なコーディングなしで図とモデルを使ってプログラムを構築するツールをデモンストレーションした。なお、Microsoftは新モデリングツールWhitehorse(コード名)のテストを、年内に開始する計画だと表明している。
「これまでは、アプリケーション開発には大量にコードを書く作業がつきものだった。それに対して、今後は視覚的な作業にになる.....分析や変更、改善を、このレベルで行なえるようになる」と、Gatesはビジネスアプリケーションのサンプルを構築しながら説明した。
Gatesはまた、重大なソフトウェア修正パッチをIT管理者がより迅速に見つけて適用できるパッチ管理方法など、セキュリティに関する進歩も強調している。「われわれは、そうしたことを可能にする体制を築くために、各社のIT部門と協力した結果大きな進歩を遂げた」
Microsoftや他の企業は、メッセージ送信者を照合する「trusted sender」システムなどのスパム遮断技術に取り組んでいることから、電子メールももっと管理しやすくなるだろう、とGatesは請け負った。「わが社が『mail caller ID』と呼んでいるシステムでメール送信者全てを照合することは非常に重要だ。今われわれは、この点でも進歩を遂げている」(Gates)
GatesはまたWebサービスの進歩も売り込み、標準策定での協力が盛んになったことなどから、アプリケーションのウェブ配信がようやく定着しつつあると述べた。
同氏は、MicrosoftがIBMと協力してオープンな標準を推進したことを挙げ、「概して厳しい競争関係にある企業同士が、素晴らしい技術協力を行なった最良の例の1つと言える」と述べた。「我が社もIBMも、標準が必要だという点で意見が一致した。これがEコマースに関することなら、利用可能な標準がなくてはならない」(Gates)
Gatesはさらに、Microsoftの「スマートクライアント」戦略の売り込みも行った。これは、最新版のOfficeのような生産性向上アプリケーションを使って、企業内にあるデータベースや他の複雑なバックエンドのシステムから情報を引き出してきて、各々のPC上で表示させるというものだ。
同氏は、こうしたツールが「情報障害(information disability)」解決に向けた取り組みのまだ初期段階にあると語り、情報障害とは企業内の各ユーザーが迅速かつ効率的に必要なデータを手に入れられないことを差すと説明した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」