Linuxクラスタ市場で光る小規模企業の活躍 - (page 2)

Michael Kanellos (CNET News.com)2004年05月11日 08時30分

低価格で高度な技術を実現

 これらの小規模企業は、IBMやCray、NECのようなメーカーが構築する、プロプライエタリなハードウェアやソフトウェアが詰まった一枚岩のマシンに背を向け、複雑な技術を魅力的な値段で提供している。

 気象予測のような一部のタスクには、NECのEarth Simulatorのようなコンピュータがいまだに好まれている一方で、研究者らはIntelやAMDのプロセッサを2〜4基搭載したLinuxサーバでつくるクラスタシステムで、ほとんどのアプリケーションが動かせることを知っている。

(大きな注目を集めたバージニア工科大のクラスタシステムは、IBM製チップ搭載のMacintoshを組み合わせて構築したものだ。このシステムを設計したSrinidhi Varadarajanは、California Digitalの最高技術責任者を務めている)

 こうしたクラスタを構築する契約の多くは、いまだに大手メーカーが受注している。NCSAが導入した2つのシステムは、それぞれDellとIBMが請け負ったものだ。またHewlett-Packard(HP)も、いくつかの契約を受注している。だが小規模なメーカー各社が、多くの重要な案件を獲得していることは否定しようもない事実だ。

 各研究機関では、これらのシステムに馴染んだことで、導入にかかる時間とコストを削減している。たとえばローレンス・リバモア研究所は、独自にLinuxカーネルとコンパイラに関する専門家を雇い入れ、クラスタへの移行の速度を早めている。

 「われわれはソリューションをまるごと買うことはしない。個々に部品を買い揃え、構築を指揮する元請け役をこなすのだ」と同研究所で先進技術部門の部長補佐を務めるMark Seagerは説明している。「こうすることで、同じ金額を費やしながら、2〜3倍という大きな性能向上を実現できる」(Seager)

 こうしたクラスタの中核をなすサーバは、標準的なコンポーネントを利用してつくられているが、しかしこの分野への参入には非常に難しい技術的な専門知識が要求される。Linux Networxは、利用するプロセッサの数やメモリの容量だけでなく、各マシンを接続する技術についても顧客に助言を行い、たとえばInfiniBand、ギガビットイーサネット、QuadricsのQSNet、MyricomのMyriNetなどのなかから、最適な技術を選べるようにしている。さらに、顧客の施設内での組み立てが簡単に済むように、サーバや接続機器を同社の工場内で組み立て、テストを行った後で出荷している。

 またソフトウェアの開発と実装も、契約のなかで大きな部分を占めている。

 「コモディティ化が進んでいる証拠として、受注金額のなかに占める出来合いの技術の比重が高まりつつあり、われわれが得意とする専門分野の割合もまた上がっている」と、Linux Networxの創業者兼CEOのBernard Dainesは述べている。

 Verariは4月にMPI Softwareを買収した。同社は、MPI(Message Passing Interface)という、クラスタ内のノード同士の通信を仲介するソフトウェアに特化した小規模な企業だ。

 「クラスタのソフトウェアの部分で何が起きているかを本当に理解し、ネットワークにおける待ち時間をなくすには、非常に多くの知識が要求される」とCalifornia DigitalのBoneは説明している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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