5月27日(現地時間)付けのニューヨークタイムズの報道によると、米National Center for Supercomputing Applications(NCSA)の研究者が、ソニーのゲーム機プレイステーション2を70台接続し、LinuxをOSとするスーパーコンピュータに匹敵するマシンを組み上げたという。その処理性能は1秒あたり5000億回に上り、最速コンピュータ世界ランキング500位以内入りできるほど速くはないものの、充分スパコンで通用するレベルにあり、しかも小売価格で計算して5万ドル余りしかコストがかかっていない。これは、低価格ながら洗練された設計のゲーム機が、いかに優れた能力を持っているかを示す一例と、Times紙では記している。
この実験を試みた動機について、NCSAの研究者たちは、コンシューマ向けの低価格なコンピュータの性能向上があまりに目覚しく、それでどこまでそうした能力を利用できるかを見てみるためだったと語っている。
さらに研究者たちは、このシステムはすでに科学目的の計算処理に使われているが、もっと注意深くチューニングされたソフトウェアルーチンが書かれ、プレステ2搭載のカスタムプロセッサに素早くデータを入出力できるようになるまでは、このシステムに秘められた本当の実力はわからない、と付け加えている。
市販ゲーム機のなかでプレステ2を選択した理由については、高速のネットワーク接続やディスクドライブを含む特別なLinuxのモジュールがソニーから販売されている点を、研究者たちは挙げている。これと対象的に、MicrosoftのX boxにLinuxシステムをインストールして動かすことは、ほとんど不可能に近い、とTimes紙は説明している。
ゲーム機の素晴らしい性能は、1980年代末の冷戦終結以降に、コンピュータの世界で起こった劇的な変化を強く裏付けるものだ、との研究者のコメントを引用したTime紙は、さらに、それまで最も先進的なコンピュータテクノロジーが、まず大企業ユーザーや軍事産業関係者向けに開発されていたのに対し、冷戦終結後は、コンシューマ市場で販売される、クリスマスプレゼントとして買われることも多いような製品に向けて、最速コンピュータが開発されることがますます多くなっていると指摘している。
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