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量子を使った暗号化システム、商用化に一歩前進

Michael Kanellos(CNET News.com)2004年05月07日 22時10分
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 ある研究者のチームが、量子をつかった暗号化でのデータ転送速度の新記録を打ち立てた。これにより、理論的には解読不可能な暗号システムの商用化への道が開けてきたといえる。

 National Institute of Standards and Technology(NIST)と共同でこの研究に取り組んでいたAcadia Optronicsの研究者らは、秒間100万ビットの速度で独立した光子を転送できるシステムを開発したと発表した。これは、同程度の量子暗号システムよりも約100倍も高速である。この転送レートであれば、暗号化されたビデオ信号や他の保護されたデータの転送が実用的なものとなるとNISTでは説明する。

 量子暗号では、光の最小単位である光子を利用してデータを送る。光子は異なる4方向のうちの1方向に偏光して(指向性を持って)いる。このため、盗聴者が機密情報を得ようとしても、光子の指向性に検出可能な変化が生じ、結果的に盗聴を防げることになる。

 NISTとAcadiaが共同開発したシステムでは、暗号キーのなかにある不安定な光子が暗号キーの解読を防ぐ仕組みになっている。これらの光子には、想定された受取人がメッセージを再構成できるよう、タイムスタンプが押されている。

 このシステムは、光子の送受信を行う8インチのミラーと、特別に設計された回路基板でできている。

 「われわれは、このハードウェアベースのシステムで、現行のソフトウェアベースのものよりも高速にデータを処理できる」と、NISTのエンジニアAlan Minkは声明の中で述べている。「もしソフトウェアでそれをやろうとしたら、100GHz以上で動作するコンピュータのパワーが必要で、またOSの速度がネックになるため、できたとしてもやはり十分な速度を得られないだろう」(Mink)

 現在数多くの企業や研究機関が、このSFのような暗号化技術の製品化に取り組んでいる。ノースウエスタン大学の研究者らは2002年に、量子暗号で秒間250Mbpsのデータ転送に成功したという論文を発表している。同大学のシステムでは、光子を異なる列ではなく、一連の流れとして送信する。

 一方Magiq Technologiesという新興企業は、量子暗号と従来の暗号システムを組み合わせた研究装置の販売を始めている。

 このように魅力的な量子暗号だが、必ずしも成功が約束されているわけではない。1つには、量子暗号が比較的短距離間でのみ有効だという問題があり、またクラッカーに非常に大量の計算を要求する従来型の暗号化システムが実は非常に効果的だという点もある。Cryptography Research社長のPaul Kocherは最近のインタビューの中で、今日の暗号化システムのクオリティは心配する必要のないものだと述べていた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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