Googleは、最高値を付けた入札者に検索キーワードを販売することで、自社のビジネスを築き上げた。そのGoogleが、今度は同様の技術を使った新規株式公開(IPO)に挑戦する。同社のIPOが、ウェブを利用した株式オークションとしては過去最大規模の試みとなることは間違いない。
GoogleのIPOで主幹事を務めるのはMorgan StanleyとCredit Suisse First Bostonという2つの投資銀行だが、両社は27億ドル規模のGoogle株式の公開に必要なシステムを数カ月がかりで一から構築しているという。
主幹事銀行2行とGoogleの代表者らは今回のIPOで使用される基礎技術についてのコメントを避けたが、インターネット株式公開の専門家によると、今回のような大規模な株式公開の場合でも、技術的なの問題はほとんどないはずだという。
「10年前ならシステムクラッシュも現実に起こりえたが、現在は当時ほどの心配はない」と語るのは旧Wit Capitalの創業者であるAndrew Kleinだ。Wit Capitalは電子IPOを実施した投資銀行だが、その後証券大手のCharles Schwabに買収された。
株式の統一価格制の影響で最近まで影が薄かったオークションだが、高性能コンピュータやインターネットの登場により、何千件もの取引が迅速に処理できるようになったことで人気を回復した。その最も顕著な例がEコマース大手のeBayだ。同社は今年、30億ドル以上の売上を見込んでいる。その他の分野でもオークションの勢いは増している。好調なGoogleのキーワード広告ビジネスもその1つだ。同ビジネスがあまりに好調だったため、同社はIPOに従来の手法ではなくオークションを採用した経緯を説明する際に、キーワード広告ビジネスの成功を理由に挙げた。
Googleの共同創業者であるLarry Pageは、米証券取引委員会(SEC)に提出したIPO申請書に添付した、7ページからなる投資家宛ての手紙の中で、「われわれがこれまでオークションベースの広告システムで培ってきた経験が、IPO向けのオークション設計プロセスで非常に役立った」と記している。
投資銀行家や企業幹部、さらに業界関係者らは、ムーアの法則が予言したチップの進歩のようなIT技術の進歩により、オークションを使った数十億ドル規模のIPOが可能になったと主張している。
Kleinは、情報の収集に関する複雑な問題を解決したり、質の高い検索結果を提供できるGoogleの能力こそ、IT技術が進歩した証拠だと指摘する。
「(Googleには)大勢の人々が同社のウェブサイトを利用した際のサーバ負荷に対処できるだけの技術と経験があり、またそのためのプラットフォームも有している。技術はIPOを実施する上で問題にはならない。難しいのは、プロセスの全段階について徹底的に考え抜くことだ」(Klein)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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