「料金の変更は段階的に行う」:JPNIC、IPアドレス料金改訂案を修正

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年05月12日 17時03分
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 IPアドレスの管理を行う日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、IPアドレスの割り振り等に関する料金体系を変更する。ただし2月に発表した新料金案は見直し、非会員からの特別維持料制度は撤回する。修正案を6月の総会で審議にかけた後、8月から施行する予定だ。

 JPNICのIPレジストリ業務の運営費は現在、IPアドレス管理指定事業者(IP指定事業者、ISPなどがこれにあたる)から受け取るIPアドレスの維持料と割当手数料でまかなわれている。維持料はIP指定事業者当たり年間10万5000円からで、割当手数料は1件につき4725円(いずれも税込み)。

JPNIC IPアドレス担当理事 兼 IP事業部長の前村昌紀氏

 この料金体系を変更するのは、現在のいびつな収入構造を改め、安定化させるためだ。JPNICの当初の予測では、収入の7割を維持料、3割を割当手数料が占めるはずだった。しかし2003年度の収入を見ると、3分の2を割当手数料に依存している。JPNIC IPアドレス担当理事 兼 IP事業部長の前村昌紀氏は「予想以上にIPアドレスの新規割当件数が多かった」と説明する。

 これに対し、割当業務が支出に占める割合は全体の1割程度に過ぎない。また割当手数料は新規申請時のみの一時収入であり、今後の運営を見通す際の不確定要因になる。こういった理由からJPNICは料金体系を見直し、継続的に収入が得られる維持料の割合を増やす方針を掲げた。

2月案には会員からの反対が相次ぐ

 2月案で提案された変更点は、

  1. 割当手数料の廃止
  2. 割振手数料の導入(1アドレスにつき4円)
  3. 維持料をAPNICなどの海外RIR(地域インターネットレジストリ)並みの水準に変更する
  4. 料金体系変更に伴って不足する収入はJPNIC非会員からの特別維持料(20万円から)で補い、それでも足りない分についてはJPNICの会費を充当する

---の4つ。この中で問題となったのが3と4の部分だ。

JPNIC IP事業部 IPアドレス課 課長代理の佐藤晋氏

 2月案では割り振りIPアドレスの総量が多い大手事業者の負担は軽くなるが、逆に少ない事業者は負担が増える。例えば/11以下の事業者は現行の378万円から273万円に減るが、/20以下の事業者が支払う料金は10万5000円から21万円へと倍増する。この急激な変更に対してIP指定事業者から反発があった。さらに非会員からの特別維持料やJPNICの会費で不足分を補うという方法も不評だった。4月案ではこうした意見を踏まえて特別維持料などを取りやめ、代わりに大手事業者の維持料引き下げを見送った。

 4月案では、/15以下までの事業者の維持料は現行のまま据え置く。ただし/16以下より小さい事業者については、「規模にかかわらず最低限かかる支出は負担してもらいたい」(JPNIC IP事業部 IPアドレス課 課長代理の佐藤晋氏)として、維持料の値上げに踏み切る方針だ。また、/10超の事業者も維持料が378万円から420万円へと値上げされる。

IPアドレスの維持料
割振IPアドレス総量(プレフィックス表記) 指定事業者数(2004年3月31日時点) 現行
維持料
4月案 2月案 APNIC Annual Fee
/10超 1 4,200,000 3,780,000 US$40,000
/10以下 1 3,780,000 3,780,000 3,360,000 US$20,000
/11以下 3 3,780,000 3,780,000 2,730,000 US$20,000
/12以下 6 2,940,000 2,940,000 2,100,000 US$20,000
/13以下 3 2,268,000 2,268,000 1,680,000 US$10,000
/14以下 10 1,680,000 1,680,000 1,260,000 US$10,000
/15以下 12 1,176,000 1,176,000 1,102,500 US$10,000
/16以下 20 756,000 840,000 840,000 US$5,000
/17以下 27 420,000 577,500 630,000 US$5,000
/18以下 64 252,000 472,500 525,000 US$5,000
/19以下 61 210,000 367,500 367,500 US$2,500
/20以下 158 105,000 262,500 210,000 US$2,500

背景にあるのは“ライバル”APNICへの危機意識

 JPNICが料金変更にこだわる理由はもう1つある。それは、海外のRIRと比較した場合の維持料の高さだ。国内の事業者はJPNICだけでなく、APNICからも割り振りを受けることができる。APNICはアジア太平洋地域を統括するRIRで、JPNICもAPNICから割り振りを受けている。

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