「2006年には売上高9兆円に」--松下電器、松下電工との協業内容を発表

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年04月23日 20時10分

 松下電器産業は4月22日、松下電工の子会社化に伴う包括協業に関して説明会を開催し、施策内容を発表した。両社は利用するブランド名を統一するほか、技術戦略を共有して共同で研究開発を進める。また、両社の技術を融合させた「コラボV商品」も投入する。重複事業については順次整理していく方針だ。

  両社は1935年に松下電工が松下電器の一部事業を継承する形で別会社となって以来、同じ松下グループながら独自の戦略に基づいて事業を行ってきた。しかし松下電器は2003年12月に公開株式買い付け(TOB)によって松下電工を子会社化。1月には両社で「21世紀コラボレーション委員会」を設立し、協業のあり方を探っていた。今回の発表は同委員会の答申に基づくものだ。

新しいNationalのロゴはオレンジ。「色の面でも両社を融合した」とのことだ

  松下電工は現在使用しているNAISブランドを廃止し、国内をNational、海外をPanasonicに統一する。松下電工の売上高のうちNAISブランドの占める割合は約30%という。また、Nationalブランドの色は松下電器が赤色、松下電工が黄色を使っているが、これをオレンジ色に統一する。いずれも2004年10月から順次実施する。

  研究開発に関しては、2004年度より技術ビジョンや中期技術戦略を共有する。今後の成長の軸になると見られる家庭内ネットワーク、住宅における省エネルギー、半導体・デバイス、照明の4分野に関しては、共同で研究開発を進める。これにより、両社合計で年間約6300億円費やしている研究開発の効率化を狙う方針だ。

  両社の保有する技術を融合させた「コラボV商品」については、2004年度下半期から順次発売する。マーケティング活動についても、一元的なマーケティングを行うことで販売力の強化とブランドイメージの向上を図る。

  両社は中国を重点市場と定め、経営インフラの共有と戦略の一元化を行う。特に照明や住宅内装分野、美容健康分野などに注力する。2004年度中には中国生活研究センターを設立し、商品力の強化に向けた取り組みを行う。

  これらの施策により、「2006年度には連結売上高が9兆円を超えるようになる」と松下電器産業副社長の戸田一雄氏は話す。両社は住宅設備や家電製品などで1000億円から2000億円程度の事業の重複があり、これらの事業は製品ラインアップの見直しなどによって今後整理されていく方針だが、戸田氏は「重複によるマイナスは(両社の技術を補完させた製品による)成長性で補っていける」と自信を見せた。

  今まで同じ松下グループながら独立独歩で事業を行ってきた両社が、1つの戦略のもとで協業するというのは大きな方針転換になる。しかし21世紀コラボレーション委員会の委員長を務めた戸田氏と、副委員長を務めた松下電工副社長の菊池紘氏によると、「委員会はきわめてスムーズに進んだ」という。

 「両社の根は1つであり、共通の経営理念である松下幸之助の教えを守ってきた。また、2010年のあるべき姿を我々の手で作るんだという大義のもと、両社の狙いは1つだった」(戸田氏)。「経営理念を一にしている両社では言葉の定義を確認する作業が必要なく、いきなり議論に入れた。これは他の会社との話し合いでは見られないことだ」(菊池氏)と話し、両社の関係が円満であることを強調した。

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