America Onlineは近い将来、同社の壁で取り囲んだ庭を一般に開放するかもしれない。
現在Time Warnerの1部門であるAOLは、ゆっくりとしたペースで新しいHTMLベースのウェブパブリッシング技術を実装している。この技術を使えば、より多くの番組やコンテンツをウェブで提供できるようになる。これはAOLの運営する各ウェブサイト--AOL.com、Netscape、Moviefoneや、タウンガイドのDigitalCityなどこれまでより多様なコンテンツを非会員にも開放するということだ。
同社はすでにパーソナルファイナンスやスポーツといった分野でのコンテンツ提供を通じて、非会員の利用者を会員に転換させることに成功している。映画やエンターテイメントなど他の分野でも、AOLが目指すゴールも同じだ。この方針転換により、AOLはさらに多くのサードパーティ企業を集め、同社サイトの内部外部を問わず、コンテンツを提供させることが可能になるかもしれない。
AOLのコンテンツ編成担当バイスプレジデントのJim Bankoffは、新しいHTMLパブリッシングツールについて、「AOLの会員でなくても、コンテンツを利用できるようにするもの」だと説明している。「このシステムによって、われわれはさらに積極的にコンテンツを提供できるだろう」(Bankoff)
AOLはこれまで何度も、いくつかの自社サイトをYahooやMSNのような幅広いコンテンツを扱うポータルサイトにしようと試みてきた。同社はNetscapeのホームページを改装して、Time Warnerの保有する雑誌の記事やエンターテイメントコンテンツを目玉にしたポータルに変えようとした。またAOL.comでも同様の試みを実施したが、ただし同社はこのサイトを主として会員向けの電子メールやスケジューラサービスを提供する場としてきていた。
Bankoffは、新しいパブリッシングツールがAOLのポータル戦略の転換を予告するものであるかについてはコメントを避けた。コンテンツをHTMLベースに変えることについては、「自社の選択肢を評価する上で、選択の幅が広がる」と同氏は付け加えた。
AOLの方針転換で最初に目を引くのは、これまでより多くのコンテンツサンプルを提供するというものだろう。同社は、こうしたサンプルの提供が契約者の増加につながることを期待している。たとえば、これまでライブ映像のストリーミング配信は会員限定のサービスだったが、先々週末にはポップスターUsherのコンサートを一般向けに配信した。
AOLにとって、コンテンツは崩壊が進むビジネスを再生に導く礎となっている。ブロードバンドサービスや他社の安いダイアルアップサービスに切り替える利用者が増加したため、同社のコアサービスであったダイヤルアップの利用者数は、2003年には200万人以上も減少した。これに対して、AOLではブロードバンド向けのプレミアムサービスを売り込もうとしているが、このサービスは月額14.95ドルの料金で、インターネットアクセスは別立てになっている。このサービスの鍵を握るのは、ビデオのストリーミングやネットラジオといったブロードバンド向けのコンテンツである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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