賢い野球ファンは、1試合分の観戦チケットと同じ値段で何百試合ものゲームをウェブ観戦できる方法を見つけ出している。だが、それにはWindowsを使う必要がある。
ウェブキャストの放映権に関する推定4000万ドルの契約をメジャーリーグとの間で結んだばかりのMicrosoftが、MSN Premiumの加入者向けに特別割引キャンペーンを展開している。だが、MacやLinuxユーザーはこの割引を利用できない。
その仕組みはこうだ。MSNのウェブサイトにある説明では、MSN Premiumに加入すると、MLB.comが配信するすべてのビデオ/オーディオ放送に最初の3カ月無償でアクセスできるという。また、それ以降も1カ月9ドル95セントを支払えばよい。さらに、4月から9月まで6カ月間続く野球シーズンをすべてカバーしても、費用は約30ドルにしかならない(CNET News.comの記者も米国時間7日にこのキャンペーンに申し込み、Dodgers対Padres戦をビデオ観戦した)。
それに対し、MacユーザーにはMLB.comが通常扱う約100ドルという3倍の金額を支払うしか選択肢がない。ビデオや音声で試合を生中継するMLB.comのAll Accessサービスは、1カ月で19ドル95セント、もしくは1シーズンで99ドル95セントとなっている。また、MLB.comは少なくとも現時点ではLinuxの顧客を全く考慮していない。
Microsoftでは、MLB.comのビデオ/オーディオ配信も提供するMac版のMSN Premiumを将来立ち上げる計画があると同社関係者は述べている。さらに、これまでにもMac版のMSNをリリースしたことはあるが、ただしLinux版はないという。「MSN Premiumは、Macを使う顧客にはまだ対応しておらず、いつ対応するのかも未定だ。だが、将来に向けて検討は進めている」(同関係者)
長年Microsoftの動きを見守ってきた人間の目には、今回のWindowsユーザー限定キャンペーンが、同社が製品とコンテンツを抱き合わせにしようとする最新の例と映っている。今回は、アメリカ人の大好きな娯楽の1つと自社のオペレーティングシステムが、その対象となった。そして、多くの場合は非Windows系のパソコンユーザーやライバル各社がその犠牲になる。
Microsoftによると、このキャンペーンは顧客に好評だという。しかし、同社に批判的な人間からは、「統合型の技術革新」と同社が呼ぶこうした抱き合わせこそ、Windowsの独占状態を利用してMSNなど他のビジネスの売上拡大を目指し、あわせてデスクトップでの支配力を維持しようとする、同社のやり方を示すものという声もあがっている。
MSN Premiumのような新しいサービスの開発に際して、MicrosoftがWindowsを優先する正当なビジネス上の理由があると、アナリストらは指摘している。その1つは市場シェアの問題で、Appleのシェアは現在パソコン市場全体の5%にも満たないことから、開発の優先順位が下がってしまう。また、MicrosoftではWindowsとMacの開発チームがそれぞれ別のスケジュールで動いており、リリースのタイミングを「同期」するよう求められてはいないとの理由もある。
一部のアナリストによれば、MicrosoftはMac用製品の提供に関して信頼に値する実績を残しているという。ここ数年の間に発売された同社の製品のなかには、PCバージョンより先にMac版で新しい機能が採り入れられた例もいくつかあると、Creative Strategiesというコンサルティング会社社長のTim Bajarinは述べている。
「MLB中継のような別扱いを受ければ、Macユーザーが大きな不満を感じることは間違いない。だが、それだけで 『MicrosoftはいつでもWindows版のアプリケーションを先に出す』と一概に決めつけるのも間違いだろう」とBajarinは述べ、さらに「なぜMac版とPC版のアプリケーションが同時に開発されていないのか?と訊ねるのが本筋だと思うが、この点についてはMicrosoftのMacグループが(PCグループとは)別組織になっているから、というのが最も大きな理由だ」と付け加えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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