4月7〜8日の2日間にわたり、千葉県浦安市のホテルにてインテル主催のIntel Developer Forum Spring 2004 Japanが開催された。開催1日目の基調講演ではインテルの戦略全般、通信技術、モバイル戦略についての説明が行われたが、2日目の基調講演では、デジタルホーム、エンタープライズ、研究開発の3つのテーマを中心に解説やデモストレーションが行われた。
Grantsdaleら新チップセットと新機能を紹介
Vanderpoolテクノロジーを紹介するIntel副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のビル・スー氏 |
最初のデジタルホームの話題では、Intel副社長兼デスクトップ・プラットフォーム事業本部長のビル・スー氏が登壇し、デスクトップPC向けの最新技術と同社のデジタル家電に向けた取り組みについて説明した。同氏はまず、Alderwood/Grantsdaleと呼ばれる次世代チップセットを紹介。両チップセットでは、PCI-ExpressやFSB-800MHz、DDR2-533のサポートが行われるという。ハイエンド向けのAlderwoodに対し、普及型のGrantsdaleでは統合型グラフィックのサポートも行われており、ゲームのデモでその3Dグラフィック描画能力の高さをアピールした。
また、これまで詳細が不明だったVanderpool(開発コード名)と呼ばれる技術の紹介も行われた。同社では、以前よりVanderpoolを「仮想化を実現する技術」と紹介していたが、実演されたデモではWindows XPでWindows 98の仮想マシンを立ち上げ、レガシーアプリケーションが問題なく動作する様子が映されていた。同社によれば、ハードウェアレベルで仮想化を実現し、ハイエンドUnixマシンなどが持つパーティショニング機能をデスクトップ上に再現できるという。
そのほか、小型デスクトップを実現できる新しいフォームファクタや、指紋認証装置を標準搭載しデジタル家電のコンソールとしても利用できるノートPCのコンセプトモデル、無線によりわずらわしいケーブル接続の手間を排したオーディオアプライアンスの試作機などを紹介している。
Itanium 2搭載ブレードが登場
NECが発表したItanium 2のブレードサーバ。Itanium 2を2基搭載したブレードを最大9枚収容できる |
インテルでは2005年リリースに向けて、デュアルコアベースの次世代Itanium 2(開発コード名:Montecito)とそのチップセット群Bayshoreの準備を進めている。Montecito+Bayshoreでは、24Mバイトのキャッシュとキャッシュの信頼性を向上するPellston、CPUパフォーマンスの最適化を行うFoxtonと呼ばれる技術を搭載して登場する。Montecitoはデュアルコアだが、さらにその先には旧Alphaのチームと共同開発したマルチコア(2〜4コア以上など)ベースのTukwilaの登場が控えている。
また壇上に、NECやHP、日立、富士通、マイクロソフトなどのパートナー企業の代表らを呼び、Itaniumにおける各社の取り組みを紹介した。なかでもNECは、世界でも初となるItanium 2搭載ブレードサーバの試作機をデモしている。同ブレードサーバは、Itanium 2を2基搭載したブレードを9つ収容することができる。シャーシのサイズは10Uで、デモ機ではRed Hat Linuxがインストールされていた。マイクロソフトは、先ごろインテルが発表したIA-32の64bit拡張技術のWindowsでのサポートが、2004年夏に行われることを明言した。Windows Server 2003 SP1の2004年夏の登場時点で、現行のItanium用に加え、64bit版IA-32用のバイナリもサポートされる予定だという。これは、同時点でOpteronのWindowsでのサポートも行われると考えて問題ないだろう。
発表会後のQ&Aセッションでは、基調講演も行ったIntelエンタープライズ・マーケティング&プランニング・ディレクタのアジェイ・マルホトラ氏は、Itanium 2で当面はUnixマシンやメインフレームなどのハイエンド市場を狙い、価格競争力がついた時点で従来のXeonなどのIA-32サーバの市場を順に置き換えていくという、段階的な戦略を進めていくことを強調した。インテルとして、当面はItaniumとXeonの両面戦略が続くことになるだろう。
UWBによる480Mbps通信をデモ
3人目の登壇者として、Intelシニア・フェロー兼コミュニケーションズ・テクノロジ・ラボ・ディレクタのケビン・カーン氏が壇上に立った。研究開発がテーマの講演だが、そのメインは高速無線通信技術のUWBの最新トピック紹介で、現状で最速の480MbpsでのUWBによる拠点間通信のデモを行った。同社によれば、FCC準拠の信号出力で110〜480Mbpsまでの通信レートが実現できるという。UWBは、10m前後の短距離を無線で結ぶWPAN(Wireless Personal Area Network)技術の本命といわれており、実際に製品化することで、USBやIEEE 1394のワイヤレス化のほか、HD(High-Defenition)TVなどで要求される大容量データ通信にも対応できると目されている。
またカーン氏が紹介した、MIMO(Multi Inpu/Multi Output)と呼ばれる技術は、無線通信で使用するアンテナ数が増えるほど指数関数的に信頼性が上昇するというものだ。例えばアンテナを送信側と受信側でそれぞれ4本用意することで、1本ではノイズや障害物などにより通信しずらくなる環境においても、問題なく通信ができるようになるという。そのほか、無線帯域をより効率的に利用することでデータ転送速度をアップさせたり、よりインテリジェントなアンテナ検索システムなども紹介されている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス