Sun Microsystemsは先週、Microsoftと技術協力に関する契約を結んだことで、同社のプロプライエタリな技術を利用できるようになったが、それでもこれまで通りオープンな標準を求めていくことになると、同社幹部やアナリストが指摘している。
Sunはこれまで最も声高にオープン標準を支持してきた企業で、顧客には複数の技術的選択肢が提供されるべきであり、また特定のメーカーの技術に囲い込まれるのではないかと顧客を不安にさせるようなことがあってはならないと主張してきた。こうした言い回しはMicrosoftを攻撃するために考えられたものだ。Sun CEO(最高経営責任者)のScott McNealyは、Microsoftのソフトウェアを「つぎはぎだらけの毛玉」と呼んで、長い間これを嘲笑してきた。
だが、Sunは米国時間4月2日の和解によって、自社とMicrosoftのサーバおよびデスクトップ用ソフトウェアを効果的に連携させるのに必要な、Microsoftの技術を使えるようになった。基本的な技術協力の枠組みを提供するこの合意に基づいて、Sunは使用料を支払ってMicrosoftの「毛玉」のなかに入っていくことになる。この合意は知的財産の交換に関するもので、オープンな標準という考えの上に成立したものではない。
しかしMcNealyは、Sunのオープン化を求める姿勢は今後も変わらないと言い張っている。 「提携したからといって、オープンなインターフェースを放棄したわけではない。これからもオープンなインターフェース、マルチベンダーといった方針を貫くつもりだ。今回はMicrosoftの環境との相互運用性が必要になった場合に、それを実現するための仕組みを作ったにすぎない」と、McNealyは2日に行われたインタビューの中で、そう語っている。
実際に、新たな合意ができたことで、Sunはオープンな標準を求める姿勢を捨てないだけでなく、逆にMicrosoftを標準のほうへ引き寄せる可能性さえある、と考えている者もいる。Current AnalysisアナリストのShawn Willettは、Javaを推すSunと.NETを擁するMicrosoftが対立しているWebサービスの分野に言及し、「今後おそらく各種の標準をめぐる多くの問題が解決されて、意見の対立する陣営が始終争っているような状態はなくなっていくだろう」と述べている。
要衝と標準
オープンな標準を求めるSunの動きは、同社が10億ドル以上の賠償金支払いを巡って2002年にMicrosoftと争った、独禁法違反を巡る訴訟の最重要項目だった。この時Sunは、MicrosoftがWindowsと.NETを組み合わせて使い、インターネットへアクセスするための要衝を握ったと断定していた。
だが、こうした申し立ても今や過去のものとなってしまった。2日に結ばれた合意では、Microsoftが独禁法関連の問題解決のために7億ドル、そして特許関連問題の解決に9億ドルを今四半期中にSunに対して支払うことになっている。さらに、MicrosoftはSunの技術を利用するために3億5000万ドルを同社に支払い、またSunも今後Microsoftの技術を利用する際に使用料を支払うことになった。
だが、顧客の目からみれば、Windowsなどの幅広く利用されている技術基盤は、中立団体で承認されていなくとも事実上の標準となっていることを、Sunは認識している。
「理想を言えばオープンな標準が望ましい。誰もがオープンな標準を採用・遵守していくなら、これほど素晴らしいことはないだろう。だが、実際には別の形の標準--つまり、いわゆる『デファクトスタンダード』というものもあり、この両社は対立することが多い」と、新たにSunの最高業務責任者(COO)に就任したJonathan Schwartzは、以前にそう語ったことがある。
調査会社GartnerのDaryl Plummerというアナリストの考えでは、Microsoftとの合意によってSunがオープンな標準の推進を止めることはないという。それよりも、SunがMicrosoft製品との相互運用性を逆手にとって、オープンな標準の重要性を伝える自社のメッセージを強化する可能性のほうが高い、と同氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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