ブロードバンドによる文化振興活動を支援する民間団体 ブロードバンドフォーラムは31日、電子透かし技術を用いたマーケティングツール「パ写WARP」の技術的なフィールドトライアルを終了し、商用化に向けたマーケットトライアルを4月1日より実施すると発表した。
パ写WARPとは、電子透かし情報が埋めこまれたポスターや街頭ディスプレイなどをカメラつき携帯電話で撮影してインターネットと接続することで、自動的にそのポスターなどの広告媒体と連携したURLに飛ぶというもの。
同プロジェクトに参加する企業は、NTT東日本、第一興商、ニッポン放送、ぐるなび、日本ヘラルド映画、ソニー・ピクチャーズエンタテイメント、アテナ、ANAビジネスクリエイト、NTTアド、NTTカード・ソリューション、NTTビズリンク。電子透かし技術やそれを埋めこむためのソフトウェアは、NTTの研究所が中心となって開発したという。
今年の1月31日から3月31日まで実施された技術検証を伴うフィールドトライアルでは、ニッポン放送などが主催したハードロック関係のイベントで、プロモーション画面を撮影して着メロが当たる懸賞サイトに誘導するといったサービスを含め、合計3回のイベントでパ写WARPが利用され、品質や機能性などが評価された。フィールドトライアルで実証された同サービスの特長としてNTT東日本法人営業本部ブロードバンドビジネス部担当部長の園田雅文氏は、
フィールドトライアルで技術的にほぼ実用レベルに近づいたとしてマーケティングトライアルに入るわけだが、技術的な課題がなかったわけではない。それは、携帯電話の機種やカメラの種類によって、認証しにくいものがある点だと園田氏は説明する。「接写に弱い機種も存在し、カタログなど接写が必要なものの場合、認証率が低くなった」と同氏は述べ、機種ごとに改良策を検討していきたいとした。
マーケティングトライアルでは、トライアル参加各社および同サービスの利用を検討している企業が、商品性やビジネスモデルの検証を行う。また、各プロモーションに対する課金方法や、電子透かしを埋め込むためのソフトウェアの販売方法なども検討していくとしている。電子透かしを埋め込むのはデザイナーの作業となるため、ソフトウェアの販売方法は「単独販売も考えられるが、たとえばアドビなどのデザイン系ソフトウェアのプラグインとして技術をライセンス提供し、それをパッケージ化したうえで販売することも検討したい」と園田氏はいう。
フィールドトライアルは2004年9月30日まで。園田氏は「トライアル終了後、2004年度中には事業化をめざしたい」としている。
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