日立、印刷文字などに情報を埋め込む2値画像電子透かし技術を開発

ニューズフロント2003年10月03日 15時18分

 日立製作所の研究部門であるシステム開発研究所が、紙に印刷した文字などに情報を埋め込む2値画像電子透かし技術を開発した。同社が10月3日に明らかにしたもの。同技術を使って電子文書に識別情報を入れておくと、その電子文書から直接、または同文書を印刷したり複写機で白黒コピーしたりした紙から元の情報を抽出できる。

 情報はいったん紙に印刷してしまうと、改ざんの確認や情報流通経路の追跡が難しくなる。同社の電子透かし技術では、人間の目ではわからない程度の微小な変化を2値画像に加えることで、人間による可読性を損なわずに情報を埋め込める。この情報は印刷やコピーを経ても残るので、紙の状態になっても抽出可能という。

 また同技術では、透かし強度の調整も行える。「ゲシュタルトの法則など人間の視覚特性を利用し、2値画像特有の乱れやすさや改変のしやすさといった特性を定量化することで、画質の劣化を回避しつつ、必要な強度で透かし情報を入れられる」(同社)

 同技術の主な内容は以下の通り。

  • 挿入情報量:64ビット
  • アナログ耐性:普通紙にレーザープリンタで出力し、その紙をスキャナで読み取ることで検出可能(300dpi時)。また出力した紙を、一般の複写機で再コピー(1、2回程度)しても検出可能
  • 強度調整:可能
  • 誤検出率:10の-6乗程度(理論値は10の-11乗)
  • 原画必要性:原画不要
  • 埋め込み速度:A4サイズで1秒(データの読み込み/書き込みは除く)
  • 埋め込み領域:画像の平坦領域には埋め込まず、改変が目立ちにくい凸凹部分を改変して埋め込みを行う
  • 検出速度:1〜10秒程度(探索範囲/精度による)
  • 検出領域:黒色の濃度1割以上、凸凹している輪郭を含む、5cm四方の領域から検出可能

日立製作所のプレスリリース

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