欧州の規制当局が先週下した、Microsoftに対する厳しい裁定と、同社に6億1300万ドルの制裁金を課すとの判断に対し、米国務省が遠回しに懸念を表明した。
ブッシュ政権によるこの抗議は、欧州委員会の裁定に関する懸念が米国連邦議会で高まる中で行われた。なお、米司法省はEUのこの裁定に先だって、Microsoftを相手取った独禁法違反をめぐる訴訟で和解命令に合意していた。
EU側に伝えられた懸念について直接知る米政府関係者が、匿名を条件にCNET News.comに語ったところによると、EUによる今回の判断が誘発しかねない悪影響について、「国務省は非公式ながら注目していた」という。なお、国務省関係者はコメントを控えている。
米国の連邦議会議員らは先週、3日間で最低6回も上院と下院の両議会で演説を行っているが、そのすべてが欧州委員会のCompetition Commissioner、Mario Montiによる裁定を非難するものだった。
なかでも、上院の院内総務を務める共和党テネシー州選出のBill Frist議員は、最も強硬な姿勢を示し、「私は現在、米国とEUが新たな貿易戦争に突入しつつあるのではないかと危惧している。Microsoftに対する欧州委員会の裁定は、米国に対する攻撃の第一波だ」だと語った。
「欧州委員会は、消費者の利益に反し、技術革新を阻害するようなこの制裁を課すことで、米司法省や複数の州の反トラスト監視当局が、Microsoftと共に苦労して慎重に作成した和解内容をあからさまに破壊してしまった。自らの裁定が米国の雇用、米国の消費者、そして米国の経済に与える悪影響に対する欧州委員会の完全な無関心、そして司法省を完全に無視するその姿勢には目に余るものがある」(Frist)
米国と欧州が独占禁止法の適用に関して衝突するのは、今回が初めてではない。以前、米国の監督機関が既に承認していたGeneral ElectricとHoneywellの合併提案を、欧州連合が差し止めたときにも、同様の衝突が起こったことがある。米国企業を犠牲にして、AirbusやLufthansaなどの欧州の各社を保護するための措置として捉えられたこの差し止めについては、ブッシュ大統領が公の場で非難していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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